帝国データバンクと東京商工リサーチはこのほど、2012年2月の倒産集計結果をそれぞれ発表した。帝国データバンクは、倒産件数は976件、3ヵ月ぶりの前年同月比増加と発表。負債総額は6289億8000万円で、3ヵ月連続の前年同月比増加となった。一方、東京商工リサーチは1,038件、負債総額が6,312億6,300万円と発表。前月比・前年同月比で、件数・負債総額とも増加している。特に負債総額は前年同月比で+53.8%となっており、エルピーダメモリの会社更生法の適用申請による影響が大きい。
帝国データバンクの調査結果
帝国データバンクによると、2012年2月の企業倒産は976件で、前年同月の884件を10.4%上回り、3ヵ月ぶりの前年同月比増加となった。前年同月比2ケタの増加率は、中小企業金融円滑化法施行前の2009年6月(21.5%増)以来、2年8ヵ月ぶり。負債トップは、製造業としては過去最大となった半導体製造のエルピーダメモリで、4480億3300万円。関連会社とあわせた2社で、負債総額全体の72.5%を占める。
地域別では北海道(51件、前年同月比54.5%増)、近畿(293件、同35.6%増)など、復興需要の恩恵が少ない地域で、建設業を中心に小規模倒産の増加が目立つ一方、東北は23件で前年同月比17.9%の減少と、2011年6月以降9ヵ月連続で前年同月を下回っている。業種別では、小売り、サービス業など4業種で前年同月比増加。建設・製造・不動産の3業種では、前年同月を下回る結果となった。
また、東日本大震災の関連倒産が依然として全国で発生しており、この1年の関連倒産件数は1995年の阪神・淡路大震災時の3倍超に膨らんでいるという。同社の「東北3県・沿岸部『被害甚大地域』5000社の追跡調査」(3月1日発表)によれば、事業再開にこぎつけた企業が3507社を数える一方、倒産にカウントされない「休廃業」を含む実質営業不能状態にある企業は1497社に達している。
東京商工リサーチの調査結果
東京商工リサーチによると、2月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,038件、負債総額が6,312億6,300万円。倒産件数は前年同月比5.1%増で、3ヵ月ぶりに前年同月を上回った。負債総額はエルピーダメモリが会社更生法の適用を申請した影響で前年同月比53.8%増と大幅に増加。同社だけで2月の負債総額の7割(構成比70.9%)を占めた。
産業別では10産業のうち6産業で前年同月を下回ったが、サービス業他と建設業が3カ月ぶりに増加し、原油高の影響が懸念される運輸業が5ヵ月ぶりに40件を上回った。地区別倒産件数では、9地区のうち6地区で前年同月を上回ったが、東北で14ヵ月連続で前年同月を下回る結果となったほか、近畿・中部で前年同月を下回った。
形態別では、法的倒産の構成比が過去最高の83.6%を占め、従業員数別では、5人未満が前年同月比12.0%増の736件に上った。また、東日本大震災が影響した震災関連倒産が53件あった。