今回も、NASAがここ1週間ほどで「Image of the Day」でピックアップした魅力的な宇宙の写真を紹介する。
ハッブルがとらえた「かじき座」
これはハッブル宇宙望遠鏡が、南天の星座「かじき座」の棒渦巻銀河NGC1483を撮影した画像である。星雲の特徴は中央の明るいバルジと星形成領域を持つアーム。
「かじき座」には、およそ70個の銀河から構成される「かじき座銀河群」があり、およそ6200万光年の彼方に位置している。この天体グループの規模は、天の川銀河(30個の銀河)を有するグループよりもはるかに大きく、銀河団の規模に匹敵するほどだ。
ちなみに銀河団とは、銀河の重力により塊として存在する宇宙最大の構造を示す。
すべての渦巻銀河のほとんど(三分の二)が棒渦巻銀河であり、その中心にある棒状の構造からその名が付けられている。最近の研究から、棒状の構造は、渦巻銀河が形成される段階において十分に成熟したことを示す可能性があるとされている。
星の生まれる場所
この画像は、タランチュラ星雲にあるR136星団。誕生してまだ数百万年という若い星団である。
天の川の伴銀河である大マゼラン星雲の中に位置するタランチュラ星雲は星が多く誕生する領域で、天の川銀河内ではこれほど星を生み出している領域はない。
青い光を放っている星の中には、質量が太陽の100倍もある星もあり、数百万年のうちに次々と爆発する運命にある。画像は2009年10月20日から27日にかけて、ハッブル宇宙望遠鏡が紫外線、可視光、赤色光で撮影したもの。
地球から非常に近いため、ハッブルは各星を見分けることができ、星の誕生と進化についての重要な情報源となっている。輝度の高い星は、強い紫外線とハリケーンのような恒星風を放ち、その周囲の物質に深いくぼみを生み出している。こうした恒星風がガスの塊にぶつかった時に生じる衝撃が新しい星を誕生させている可能性がある。青い光は、最大の質量を持つ高温の星から発せられているもので、緑色の光は酸素、赤色の光は水素を示す。
ケンタウルス座A
これはケンタウルス座A。ハッブル宇宙望遠鏡により、紫外線から近赤外線の波長で2010年7月に撮影されたものだ。
青く光る若い星団と、通常は塵で隠れている領域を映し出している。ケンタウルス座Aのガスと塵でできた円盤は、過去に他の銀河と衝突・合体したことを示す。その衝撃波がガス雲の圧縮を引き起こし、新しい星の形成を促す(画像の赤い部分)。
ケンタウルス座Aには超大質量ブラックホールとそこから噴き出す高速の宇宙ジェットが存在するが、この画像ではどちらも写っていない。
地上から見た木星
2010年9月12日にアマチュア天文愛好家によって撮影された木星とその衛星イオとガニメデ。画像上部が南極で、木星の「大赤斑」を見ることができる。
地上からの観測は、どんな特性を撮影することができるかを予測する助けになるため、NASAの木星探査機「ジュノ」のミッション成功に大きな役割を果たすものである。
「ジュノ」は、木星に固体の核があるかどうかの調査、強磁場の分布の調査、水分やアンモニアの量の測定、木星のオーロラの観測などを行う。