大阪市立大学、総合設備コンサルタント、中央復建コンサルタンツ、関西電力は3月7日、NEDOの次世代型ヒートポンプシステム研究開発プロジェクトの一環として、都市域の下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術の実証試験設備を完成し、運転を開始すると発表した。
同プロジェクトは、冷暖房・給湯のエネルギー消費削減に効果的なヒートポンプ単体の改良だけでは電力削減の効果が限定的であることを踏まえ、総合効率が現状と比較して1.5倍以上のシステムを確立するため、6件のテーマの下、技術開発を行っている。
同実証実験では、都市部を流れる下水を未利用の「熱源」ととらえ、下水熱の利用機会を高めるために、既存の下水管路網を対象に給湯や冷暖房を需要とする建物近傍の管路において下水の熱利用を可能とする下水熱利用システムを開発する。加えて、下水管路に沿って複数の下水熱利用システムを配置し、採熱や放熱を異なる地点で行う下水熱融通技術の開発も行う。
今回、大阪市千島下水処理場内に未処理水を用いる下水熱利用実証試験設備(第1期)を構築し、実証試験を開始する。
今後、冬季と中間期(春季)までの実証運転を行い、下水熱利用システムを実証する。その後、2012年夏季には下水熱融通効果を実証するための試験設備(第2期)を追加構築し、中間期(秋季)と冬季に実証試験を開始する予定。実証試験では、2012年度末までにシステム全体での総合効率が1.5倍以上となることを目指す。