米Zyngaが3月1日(米国時間)に、ゲーミングプラットフォーム「Zynga Platform」を発表した。同社のWebサイト(Zynga.com)を通じてソーシャルゲームをホストし、同社のゲームを提供するだけではなく、サードパーティ開発者にも開放する。英語、日本語、フランス語、イタリア語、スペイン語、繁体字中国語など16言語に対応。3月中にベータ版を公開する予定だ。
Zyngaは世界有数のソーシャルゲームデベロッパーであり、Facebookゲームの最大のデベロッパーである。Facebookの成長がZyngaのソーシャルゲームを広め、ZyngaのゲームがFacebookユーザーのサイト使用時間の拡大に大きく貢献した。相乗効果は業績にも現れており、Facebookが米証券取引委員会に提出した株式公開(IPO)の申請文書によると、2011年のFacebookの売上げにおいてZyngaからの収入が12%を占めた。しかしながら、2010年にFacebook Creditの手数料を巡る交渉で衝突し、またIPO時にFacebookへの高い依存度が指摘されるなど、長期的な成長戦略において脱FacebookがZyngaの課題になっていた。2011年10月に独自のプラットフォームを開発する計画(コードネーム: Project Z)を明らかにし、今回の発表に至る。
Venturebeatに対してCOOのJohn Schappert氏は、次のように語っている。「これまでWeb/ゲーム会社として、プレーヤーにコンテンツを提供し、自身のインフラと技術を開発してきた。そして今、われわれはゲーミングとプラットフォームの企業に変わろうとしている」。
ただし、プラットフォーム企業としてゲーム分野でFacebookのライバルになるのではなく、既存のFacebookとのパートナーシップの延長でZynga Platformを運営する模様だ。プレーヤーはFacebook IDでログインし、Facebook上の友だちや、同じゲームを好む人たちとプレイできる。Facebook統合はそれだけではなく、Venturebeatによると仮想アイテムの販売にFacebookの仮想通貨「Facebook Credits」を採用する。
ベータ版は、ユーザーを結びつける「zFriends」、ライブソーシャルストリーム「Social Stream」、「プロフィール」、「ライブチャット」などの機能を備える。ゲームは「CastleVille」「Words With Friends」「CityVille」「Hidden Chronicles」「Zynga Poker」の5つが提供される。
現在いくつかのプラットフォームパートナーが参加準備を進めており、これを順次拡大し、最終的にはAPIを通じてすべてのサードパーティ開発者がプラットフォームを利用できるようにするという。Zyngaのソーシャルゲームのアクティブユーザーは月2億4000万人。そのユーザーベースは、ゲーム開発者にとって大きな魅力である。だが、Zynga.comがFacebook Creditを利用しているため手数料が大きくなる可能性がある。
今はFacebookとの長期提携を尊重し、いずれ終了するのを見通して、少しずつ独り立ちの土台を固めていくのだろう。まずはソーシャルゲームにおいてゲーム専門のサービスが、Facebookを超えるような訴求力を持つことを証明する必要がありそうだ。