スイスのITベンダー Kaseyaは昨年の8月、東京に日本法人を設立し、本格的に日本市場に参入した。同社が提供するのは、「資産管理」「PCの遠隔操作/サポート」「モニタリング」「パッチマネジメント」「ソフトウェア自動インストール」「バックアップ/復元」「データ遠隔消去」「アンチウイルス/アンチマルウェア」「ヘルプデスク」などのクライアント管理サービスのほか、MDM製品もある。また、最近では、これまでの管理技術を活かしたOSのマイグレーションサービスも提供している。
今回、同社CEOが来日し、現在のビジネス状況を聞くことができたのでレポートする。
kaseya 会長兼CEO ジェラルド・ブラッキー氏は、同社の最近のビジネス概況について、「Kaseyaは2000年に創業し、2003年から製品の提供を開始した。展開している国は32カ国で、提供している言語は13カ国語になる。現在、ヨーロッパや米国市場を中心に展開しており、約1億ドルの売り上げがある。我々の主なターゲットはITサービスプロバイダや大企業で、現在2万社の顧客がいる」と、ビジネスが順調に成長している点を強調。
成功のポイントについて同氏は、「一人のIT管理者で何千もの端末を管理したいという、人々がほしいと思っていた機能をタイムリーに提供したことだ」と説明した。
また、創業者でkaseya社長のマーク・サザーランド氏は、成功のポイントとして、展開が簡単であること、高度に自動化されていること、細かなカスマイズも可能であることを挙げ、続けて「我々は、設立以来ITの自動化にフォーカスしており、それにより現在のユニークでいいポジションににつく事ができている。エージェントベースでも、エージョンントレスな環境でも、モニタリングおよびマネージメントの統合が図られており、これにより、コンピュータの全体像が捕らえられるだけでなく、ネットワークの中での各コンピュータのオペレーションをすべて把握できる」と述べた。
また、創業者のマーク・サザーランド氏がCEOでない点について同氏は、「我々は創業当時から技術力にフォーカスしており、その点では成功していたが、セールスとマーケティングの面ではうまくいっていなかった。そこで、製品を提供するにあたり、ジェラルド・ブラッキー氏にこの部分を任せることにした」と説明した。なお、ジェラルド・ブラッキー氏は、製品の展開を開始した2003年にkaseyaに入社している。
同社では、2014年4月のWindows XPのサポート終了により、需要が高まりつつあるOSのマイグレーション事業も積極的に展開しているが、この点についてマーク・サザーランド氏は、「世界各国でWindows 7の採用が進んでいる。大部分の人は、XPからの移行だが、我々のサービスを使えば、企業内のPCすべてを一挙に、ユーザーのダウンタイムなしでWindows 7に移行することができる。ユーザーはマイグレーションの最中でも作業を続けることができ、マイグレーションが完了した時点で、新しいPCに移ればよい」と、同社が提供するマイグレーションサービスを利用すれば、簡単に移行できる点を強調。
さらに、「Windows 7への移行は、企業にとって大きなタスクとなるが、作業を行っていない空きの時間でプロセスを進めることができるため、IT管理者の生産性を下げることがない。移行に際しては、いろいろな細かなプロセスが動いているが、UIは非常にシンプルであり、ユーザーは背後でどんなプロセスが動いているか意識する必要がない。また、詳細なカスタマイズを行いたいユーザーの要求にも応えることができる」と、IT管理者の生産性向上にも寄与できるとした。