SAS Institute Japan 代表取締役社長 吉田仁志氏

SAS Institute Japanは2月28日、2012年の事業戦略に関するプレスセミナーを開催した。同セミナーでは、代表取締役社長 吉田仁志氏が3つの柱から成る同社の事業戦略について説明を行った。

同社では市場動向を踏まえ、「グローバル化への対応」「ビッグデータへの対応」「情報活用力」への対応が必要として、2012年の事業戦略の柱を「Information Management」「High Performance Analytics」「Global Solution & Practice」に据えている。

同氏はGartner社のリサーチデータを例に出し、「経営層にとって、アナリティクスとBIがビジネスの優先事項を解決するテクノロジーという認識が高まっているが、実際、戦略的な分析を行っている企業は高い財務パフォーマンスを達成している」と述べた。ある調査のデータでは、戦略的な分析を行っている企業の53%が財務面で高いパフォーマンスを示しているという。

「情報活用力が企業の原動力になりつつあるが、情報活用において重要なことは格納ではない」と、同氏は指摘した。「情報活用においてはスピードと意思決定の質がモノを言う。もう1つ難しいポイントが、企業の各所に分散しているデータを一元管理すること。コラボレーティブな意思決定を実現するシステムが必要」

「Information Management」では、データを情報に変えて価値を創出することに重きを置く。同社では「データを収集・統合・管理するだけでは役に立たない」としている。同氏は、競合との相違点について、「分析プロセスと意思決定プロセスを情報基盤に組み込んでいるところ。これらが一体となって、初めて意味を成す」と語った。

「Information Management」の概要

「High Performance Analytics」を実現する製品としては、「SAS Grid Computing」「SAS In-Database」「SAS In-Memory Analytics」があり、ビッグデータをサポートする。このジャンルにおける同社の特徴として、同氏は「製品をハイパフォーマンス・コンピューティングに埋め込むことが可能なこと」を挙げた。

「High Performance Analytics」の概要

「Global Solution & Practice」では、国内ではますます必要性が高まっている「グローバル経営」を支援するソリューションを展開する。グローバルなリスクへの対応策として、同社が掲げる軸が「オンプレミスとクラウド」「収益分析」「顧客分析」だ。

同氏は「SASはアナリティクスだけの企業ではない。業種・業界に特化したテンプレートを200種以上提供しており、どのようにして分析に取り組むべきかわからない企業をサポートしている」と、同社が分析に加えて、グローバルリスクにも対応可能であることを強調した。

また、グローバル企業では、為替のリスクを把握できていないことなどが理由で、取り扱っている製品の原価を正確に算出できてないことがあるが、同社の製品を導入することでそうした問題を解決できるという。

「Global Solution & Practice」の概要

同氏は最後に、「残念ながら、最近グローバルでは日本を軽視する風潮があるが、われわれは違う。今後はさらに国内でのサポート体制を強化していく構えだ」と、日本を重視している姿勢をアピールした。