A10ネットワークスは、Webアプリケーションデリバリーサービスを提供するアプリケーションプラットフォームAXシリーズにおいて、パフォーマンス向上を図り、DDoS(分散型サービス拒否攻撃)対策としてFTA(Flexible Traffic ASIC)テクノロジを搭載した64ビットの新モデル「AX 3200-12」、「AX 3400」を2月15日より提供開始した。
いずれも1ラックユニットとなっており、中規模から大規模までの企業およびサービスプロバイダでの利用を想定している。価格は、AX 3200-12が8,699,000円(税別)、AX 3400が14,999,000円(税別)。
AXシリーズは、同社のフラグシップモデルという位置づけで、アプリケーション配信やIPv6のマイグレーション製品として利用されるケースが多いという。
近年、DDoS攻撃による被害が増加傾向にあるが、AX 3200-12、AX 3400に搭載しているFTAテクノロジは、専用のチップによりL4コネクション処理やDDoSに対する防御処理をCPUの代わりに処理する機能。FTAテクノロジは、これまで同社のキャリア向け製品である2Uのモデルのみに搭載していたが、今回、ハードウェアの高速化を図ったFTA-2に一新し、同社の1Uモデルとして初めて搭載した。FTA-2は、今後、2Uのモデルにも搭載していくという。
DDoSに対する防御処理を搭載した理由を同社では、「最近ではDDoS攻撃が増えており、サーバロードバランサの役割を果たすAXシリーズは最初に攻撃を受ける。通常、これらはファイアウォールで防御するが、ファイアウォールの処理が大変になり、パフォーマンスにも影響する。そのため、有効なソリューションになると考えた」と説明する。
AX3200-12は1秒間に最大2,500万SYNに対応し、AX3400は最大5,000万SYNに対応する。
AX 3200-12は、4ポートの10Gbファイバポート(SFP+)、4ポートの1Gbファイバポート(SFP)、20ポートの1Gbカッパーポートを搭載し、1.1MのL4 CPS、18Gbpsのスループットを発揮する。
一方、AX 3400は、AX 3200-12の上位モデルにあたり、4ポートの10Gbファイバポート(SFP+)、4ポートの1Gbファイバポート(SFP)、20ポートの1Gbカッパーポートを装備。2MのL4 CPS、38Gbpsのスループットを発揮する。
来日した、米A10Networks創業者 兼 CEOのリー・チェン(Lee Chen)氏は、「A10 Networksは7年半前、私一人で創業したが、現在360名の社員がおり、16の海外支社がある。持続性のある優良な企業を目指して活動しており、卓越した顧客サービスを提供して、アプリケーションネットワークのリーダーになりたいと思っている。2004年に来日した際、大手企業に勤める2人の日本人と夕食を共にしたが、2人とも米国のベンダーは、プライオリティの高い事象でも1カ月以上回答が返ってこず、顧客サービスがひどい状況だと訴えた。それで、顧客サービスの高い企業を目指すことを決めた」と、同社が顧客サービスの高さを重視している点を強調した。
日本法人であるA10ネットワークス 代表取締役社長兼CEO バイスプレジデント南アジア 小枝逸人氏は、顧客サービスの優位性について、米国のエンジニアと緊密に連絡を取り、問題が生じた場合はすぐに対応できる環境を整えており、修正モジュールを他社より早い段階で提供できる点を挙げた。
そして、現在、日本にコールセンターを設置するべく準備しており、2カ月程度でサービス提供を開始できる見込みだという。ここでは、日本語による対応が行われ、対応はエンジニアが直接行うため、ある程度の障害の切り分けを国内だけで行うことが可能になるという。
また、小枝氏は「日本の売り上げは2年で6倍になった。これは、お客様のビジネスをきちんと理解した上で、しっかりとしたサポートにフォーカスした結果だ。トップのF5に近づくところまで来ており、ベースがしっかりできて来ている」と、業績が好調な点を説明。そして、「今後は二次代理店を増やしていきたい」と述べた。