NEC 執行役員常務 山元正人氏

NECは2月13日、ビッグデータ関連事業を強化するため、関連製品/サービスの拡大、全社横断の戦略プロジェクトの立ち上げ、専門要員の強化・育成を実施すると発表した。同日、ビッグデータの処理に適した製品として、スケールアウト型データベースソフトウェア「InfoFrame Relational Store」の発売も開始された。最小構成の価格は510万円から(税別)。

執行役員常務の山元正人氏は初めに、「最近、ビッグデータという言葉が注目されているが、われわれは『情報爆発』と呼ばれていた時代から取り組んでおり、顧客にもシステムを提供してきた」と、同社が以前からビッグデータと呼ばれる領域に取り組んできたことを強調した。

同社が提供するビッグデータ関連の製品/サービスの強みについて、「センサー・マシンからの情報収集、急増するデータへの対応、さまざまなタイプのデータ処理といった、ビッグデータの処理に関するすべての機能を提供できること」と、同氏は説明した。センサー・マシンからの情報収集は、M2M(Machine to Machine)製品「CONNEXIVE」が担う。

ビッグデータに関する製品/サービスの拡大としては、InfoFrame Relational Storeに加えて、「業種/業態に対応したビッグデータ解析分析サービス」をSaaSとして、「ビッグデータ収集データ処理基盤」をPaaSとして提供していく構えだ。

体制面の強化としては、専門プロジェクト「ビッグデータ戦略プロジェクト」を発足させた。同プロジェクトは、営業・企画・研究部門を含めて50名で構成される。加えて、専門要員を拡大するため、顧客業務に精通し現場部門に解決策を提案できる「ドメインエキスパート」と分析スキル/ツールの活用に長けた「分析エキスパート」という職種を育成していく。今後3年間で、ビッグデータに対応可能な人材は200名まで拡大する予定だという。

NECのビッグデータ関連事業の強化施策

NEC 第三ITソフトウェア事業部長 伊藤晃徳氏

InfoFrame Relational Storeの詳細は、第三ITソフトウェア事業部長の伊藤晃徳氏から説明が行われた。

同氏は同製品の特徴として、「スモールスタートが可能な点」「SQLに対応しているため、既存のアプリケーションを有効活用できる点」「RDBMSとKVSのメリットを兼ね備える点」「基幹業務にも採用できる高い信頼性」を挙げた。

大規模なデータ量と膨大なアクセス数に対応可能なシステムを既存のRDBMSで構築しようとすると、初期導入時から大型システムを導入しなければならないが、同製品は数ぺタバイトまでリニアに拡大できるため、コストを抑えられるという。

同製品はBIGLOBEの画像管理サービスで実証実験が行われているが、アプリケーションの流用率は99%に上る。

同製品の信頼性を支えているのは、同社の北米研究所で開発した独自技術「MicroSharding(マイクロシャーディング)」だ。同技術は、複数のデータをまとめてメモリ上で処理することで、高速なトランザクション処理を実現する。「KVSはまだミッションクリティカルな用途での利用には不安があるが、InfoFrame Relational Storeの拡張性を保ちつつ、SQLに対応することで、基幹業務にも利用できる」と同氏。

山元氏によると、今年の同社のビッグデータ関連事業の売上は400億円弱だが、「今後3年間で1,500億円規模にまで拡大させることを狙っている」と語った。