LSIの日本法人であるLSIロジックは2月7日、都内で会見を開き、2011年の総括と2012年の注力分野などの説明を行った。
同社の2011年の売上高は前年比9.3%増となる20億4400万ドル。製品分野別ではHDD/SSDが7億5100万ドル、サーバ&ストレージコネクティビティが7億3600万ドル、ネットワーキングが4億5400万ドル、IP分野が1億300万ドルとなっている。
同社は2011年に外部ストレージ・システム子会社であるEngenioを4億8000万ドルでNetAppに売却しているが、同分野の売り上げは上記の売り上げに含まれておらず、事業売却をしつつも、本業の業績で前年比でプラス成長を果たした。
この背景にあるものは、クラウドの普及やそれに伴うデータセンターの増加。ビデオストリーミングなどのトラフィック量の増加、そしてスマートフォンの市場拡大などがあげられる。
各分野での取り組みを見ると、HDD/SSDではHDDベンダ向けに28nmプロセス採用のリードチャネルや1プラッタあたり1TBの記録密度を実現可能なコントローラ、そしてSSDコントローラメーカーのSandForceの買収などがあげられる。また、サーバ&ストレージコネクティビティでは先述のNetAppの売却のほか、チャネル市場向け製品ラインアップの拡大や12Gbps SAS ROC、コントローラ、エクスパンダなどの提供開始。ネットワーキングではマルチコアコミュニケーションプロセッサやFAXチップの国内メーカーでの採用があるという。
また、すでに米国などでは好調なIPおよびカスタムシリコン分野ではスーパーコンピュータ「京」を進化させた汎用スパコンとなる富士通の「PRIMEHPC FX10」向けプロセッサ「SPARC64 IXfx」などの受託開発が日本でも進み始めたことがあげられる。
特にこの受託開発分野は40nmや28nmプロセスといった微細プロセス分野では開発コストの高騰もさることながら、開発の難度も上昇しており、これまで自社開発を行っていた企業でも難しいという判断で同社への開発委託を出すケースなどが増加しているという。これは、同社がネットワーク分野向けIPなどを自社で確保しており、これらの技術をカスタムシリコンへと転用、および開発ノウハウなどを活用することが可能なためで、そうした自社での開発投資が難しくなってきた企業から見て、すでにシリコンとして実績があるものを有しているということが評価につながっていることによるもののようだ。
なお、2012年以降の取り組みとしては、RAIDカードといったコンポーネントレベルの製品は同社のデバイスを搭載するアプリケーションという位置づけなので話は別だが、その先にあったストレージシステム部門をNetAppに売却したことで、ある意味、純然たる半導体ロジックベンダへと回帰を果たしたこととなり、その深堀りが進められることとなる。
特にSandForceの買収は、こうした半導体ベンダとしてのビジネスをより強固なものとすべくとられたものであり、すでにIntelのSSDなどに採用されているという実績もあるSandForceブランドを継続して販売していくことで、従来強かったHDD分野のみならずSSD分野でも存在感の向上を図っていくことが1つの注力課題となる。
また、データセンターやクラウドの進展は今後、さらに進むことが見込まれており、そうした分野で活用されるPCI Express対応のフラッシュストレージや管理ソフトウェアソリューションなどへも注力を図って行くことで、よりストレージ分野およびネットワーク分野での存在感を増すことを目指していくと同社では説明している。