NASAは2月1日(米国時間)、月探査機「グレイル」に搭載されているカメラが初めて撮影した月の裏面の映像を送ってきたことを発表し、その映像を公開した。
グレイルは、「エブ」と「フロー」という2つの探査機で構成される月探査機で、これらには「ムーンカム」と呼ばれるカメラが搭載されている。
今回公開された映像は、「エブ」に搭載されたカメラの試験として1月19日に撮影されたもの。映像は探査機が月の南極に向かって周回している際に撮影されたため、画面上部に月の北極を捉えることができる。
今回の撮影で初めてわかった月の地形の特徴のひとつに、月の下部三分の一の場所に見える「東の海」がある。東の海は、幅900kmの衝突盆地で、月の表側と裏側にまたがっている。
映像は月の南極付近で終了しているが、画面下部に幅149kmのクレーター「ドリガルスキー」が撮影されており、その中央に星型の地形が見える。この地形は中央丘で、彗星か小惑星が数十億年前に衝突したことで形成されたものとされている。
「エブ」と「フロー」は2011年9月に打ち上げられており、定期的に軌道修正を行いながら、最終的に高度55kmの円形軌道を周回する予定。月に関する長年の疑問に対する答えや、太陽系に存在する地球やその他の惑星の形成過程に関する情報をもたらしてくれると考えられている。
なお、「エブ」と「フロー」を使ったグレイル計画は、NASAマーシャル宇宙飛行センターによるディスカバリープログラムの一環として行われている。