SAPジャパン 代表取締役社長 安斎富太郎氏

SAPジャパンは1月31日、2012年の事業戦略に関するプレスセミナーを開催した。同セミナーでは、代表取締役社長 安斎富太郎氏が2011年の重点事業領域やフォーカスを当てているソリューションについて説明を行った。

同氏は初めに、同社の2011年のビジネスが好調だったことを明らかにした。同社の従来の主力製品であるERP以外の成長が著しく、グローバルでインメモリ型データベース製品「HANA」の売上が、目標の1億ユーロに対し1.6億ユーロ以上を達成したほか、モバイル関連の売上も1.3億ユーロを超えたという。さらに、グローバル以上に日本のビジネスは好調で、前年比21%増の約680億円超を達成したとのことだ。

「SAPジャパンの売上を支えているのは、HANAやビジネス・アナリティクスといったERP以外の新たな分野。昨年の売上の割合は、ERPが6割、ERP以外の売上は4割だったところ、今年はERP以外の売上が55%以上だった」と同氏。

HANAのビジネスが好調だった理由については、「内向きと外向きの理由がある。内向きの理由は専任組織をいち早く立ちあげて、かなりの権限を委譲したこと。外向きの理由は、野村総合研究所が導入したこと、震災の影響も手伝ってか、経営の効率化に着手する企業が増え、その一環として、自社のデータをもっと活用するという機運が生まれたことだ。顧客が実現したかったことがHANAによって簡単に具現化することが理解していただけたようだ」と、同氏は述べた。

同社は「ソリューション」「顧客」「社員」という3つの柱を下に、2012年の事業戦略を立てている。

ソリューションにおいては、「Analytics」「Mobile」「Application」「Database&Technology」「Cloud」という5つの事業に重点を置く。同氏は、5つの事業について「われわれはアナリティクス、モバイル、アプリケーションの3つの市場はすでにリーダーとして牽引しているが、データベースとクラウドは追う立場にあるので、この2つの領域でもリーダーとなることを目指す」と説明した。

SAPジャパンの2012年の重点事業領域

同社は2015年までの中期目標として、「グローバルでの売上として200億ユーロ」「35%のマージン」「10億ユーザー」「クラウドの売上として20億ユーロ」「データベースでの成長」を掲げている。同氏によると、「クラウドの売上として20億ユーロ」と「データベースでの成長」は今年加わったのだという。ここにも同社が2012年にデータベースとクラウドに注力していくという強い意志が表れている。

現在のマージンが32、33%であるところ、35%まで引き上げようとしている意図については、「マージンの率を引き上げるというと驚かれるかもしれないが、自社でのコスト削減によって実現するつもりだ。引き上がったマージン分は研究開発に投資していく」と同氏。

5つの事業においてそれぞれフォーカスするソリューションについても、説明がなされた。アナリティクス事業では、Business Object製品をHANAやモバイル製品と連携させることで、真のリアルタイムを目指す。データベース事業では2010年に買収したサイベース製品とSAP製品の統合を強化し、また、クラウド事業ではパートナーとの協業と2011年12月に買収したSuccessFactorsの買収に伴う作業を進める。

SAPジャパンが2012年にフォーカスを当てるソリューション群