ノークリサーチは1月26日、年商500億円未満の中堅・中小企業を対象に実施した情報系システムにおける課題とクラウド活用に関する調査結果を発表した。
「情報系システムに関する課題のうち最も重要なもの」を尋ね、その結果を導入状況別に集計した結果、「パッケージ製品を導入」または「個別にゼロから開発」といったクラウド以外の形態においては「自社が求める機能要件を満たせていない」「複数システム間の連携がとれない」といった課題が多く挙げられた。
この結果に対し、同社は「情報系システムはスケジューラなどの基本機能がすでに完成形に近づいており、市場シェアの変動を見てもやや飽和感が見られるのに対し、ユーザー企業情報系システム自体にまだ改善の余地があると認識している」と指摘している。
「自社が求める機能要件を満たせていない」「複数システム間の連携がとれない」といった課題への解決策としては、「必要な画面や機能をユーザ自身が簡単に作成できる仕組み」「ユーザ自身が簡単/柔軟に設定できるデータ入出力機能」といった解決策が多く挙げられた。
情報系システムで最も多く挙げられる課題に対し、ユーザー企業は自身の手で対応できる形での改善を期待していることになり、同社は「情報系システムが持つ特性も踏まえながら、ユーザー企業が求める課題解決とクラウドをどう結び付けるべきかを考える必要がある」としている。
注目すべき点としては、ソフトウェアやハードウェアの「導入/維持コストが高い」という課題の解決策として「様々なクラウドサービスと組み合わせて、自社が求めるシステムをクラウド上に実現する」が挙げられていることがあるという。
自社内で利用しているグループウェアをクラウド形態に移行することは、社員数の少ない中堅・中小企業ではコスト削減効果が低いが、自社の要件を満たすための機能追加やシステム間連携を実現しようとするとオプションやバージョンアップなどの費用がかかる。そこで、同等の機能を提供するクラウド上のサービスを組み合わせれば、既存システムへの変更を最小限に抑えることができる。
「情報系システムにおけるクラウド活用の障壁になると考えられるもの」を尋ね、その結果を活用状態別に集計した結果では、「ASP/SaaSといったサービス形態を利用している」において、「アプリケーションが変わることに対して抵抗がある」や「実績が乏しいため、自社内で推進するのが難しい」といった課題が他の活用状態と比べて多く挙げられた。
こうした背景から、「既存の社内情報系システムは無理にクラウドへ移行せず、それを補完する形でクラウドを活用する」といったアプローチが有効となってくるが、「補完型サービス」は新興ベンチャー企業から提供されることが多い。
よって、「ITを提供する側は、顧客ニーズに合わせて各種サービスを検証し、必要に応じサービス間や既存システムとの連携が行えるように準備を進めておく必要がある」と、同社は分析している。