日本アイ・ビー・エムは1月23日、2012年のソフトウェア事業の戦略に関するプレスセミナーを開催した。同セミナーでは、同社の常務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏が説明を行った。
常務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏は、「現在、企業が抱える課題はソフトウェアがないと解決できない状況にある。われわれはそうした課題を解決するために必要な6つの能力をもとに8つのブランドのソフトウェアを提供していく」と説明した。
同氏はソフトウェア事業がターゲットとする市場が「新世代ミドルウェア市場」とした。同市場は、従来のSIとソフトウェアから成り、規模は3.5兆円に及ぶという。「新世代ミドルウェアを活用するにあたっては、柔軟性、スケーラビリティ、オープン性を有し、セキュアなITインフラ・アーキテクチャが必要」と同氏。しかし現実には、「こうしたアーキテクチャを導入できている企業は少なくない」と同氏は訴える。
加えて、これまでと同様に、ソフトウェア事業として注力する領域が、「ビッグデータ」「ソーシャル・ビジネス」「セキュリティ」であることが紹介された。
最近、同社に限らず「ビッグデータ」に関する製品やサービスをリリースするベンダーが増えているが、ビッグデータという領域における同社のアドバンテージについて、「われわれがビッグデータの特性としてとらえている3つのV、『Variety(多様性)』『Velocity(頻度)』『Volume(量)』に対し、包括的なソリューションを提供できること」と同氏は説明した。
「ビッグデータに関する重要な技術であるHadoopについて、『できること』と『できないこと』が明らかになっていた。われわれはHadoopが解決できない領域にもソリューションを提供する。実のところ、Hadoopを導入しながらも期待した結果が出ないために、当社に依頼をしてきた顧客もいる」
ソーシャル・ビジネスについては、個人利用は進んでいるものの、企業において生産性向上といったビジネス上の課題解決には至っていないという。ソーシャル・ビジネスの実現には、ソーシャルソフトウェアだけでは不十分であり、同社としてはLotus、WebSphere、COGNOS、Rationalといったソフトウェアブランドを活用して広範なソリューションを提供していく。
セキュリティについては、2012年1月1日付けで「セキュリティ・システムズ事業部」を新設。これに伴い、従来ブランドごとに提供していたセキュリティ製品を集約し、統一したフレームワークに基づくソリューションを提供する。
同氏はセキュリティ領域における新たなコンセプトとして「セキュリティインテリジェンス」を紹介した。セキュリティインテリジェンスとは、ユーザー・アプリケーション・インフラから生成されたデータをリアルタイムで収集・正規化し、企業におけるITセキュリティとリスクの状況を分析することだ。「セキュリティインテリジェンスを実現している企業は少ない」と同氏。