QDレーザ、東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構および富士通研究所は、波長532nmで高出力、小型、高効率で高速変調可能な緑レーザモジュールの開発に成功したことを発表した。同技術により、分光分析、蛍光分析を応用したライフサイエンス、バイオメディカル用途や、精密計測、非破壊検査などの産業用途、将来の超小型プロジェクタなど広いアプリケーションへ、緑レーザの適用が期待されるようになるという。
QDレーザでは、東京大学、富士通研と共同で独自の半導体結晶成長技術、高精度の回折格子形成技術、そして半導体レーザ設計技術を開発してきており、これをベースに、波長変換レーザに最適化した発振波長1064nmの高出力単一波長レーザを開発。さらに今回、このレーザ素子と波長変換素子を組み合わせる精密モジュール化技術を開発し、約0.5ccの体積ながら波長532nmにおいて、100mW以上の高出力で動作するモジュールを実現した。
プロトタイプの試験結果では、100mW出力時の消費電力は約900mWであり、10%以上の出力変換効率が得られたという。光出力スペクトルとしては波長幅0.01nm以下の単一波長特性が得られ、特に、精密な分光計測分野や光干渉計測分野への応用が有効としている。さらに、100MHz以上の高速変調や1ns以下の短パルス動作を単純な直接変調によって実現することを確認し、時間分解分光などのアプリケーションへの応用に対しても高い有効性を示した。また、小型・高効率特性や高速変調特性から、ヘッドアップディスプレイや超小型プロジェクタへの適用も期待できるという。
QDレーザでは、出力5mW以上のモジュール「QLD0593-P05」のサンプル出荷をすでに開始しており、出力50mW以上の「QLD0593-P50」についても、2012年4月よりサンプル出荷、同下期より量産開始を予定している。
なお、同緑レーザモジュールは、1月24日から米国サンフランシスコで開催される「SPIE Photonics West」にてデモ展示を実施する予定となっている。