ルネサス エレクトロニクスは1月18日、ハイブリッド電気自動車や電気自動車(HEV/EV)用モータ制御など向けの車載用マイコンとして、高度な機能安全に対応したシステムの高機能化と低コスト化の同時実現に貢献する「V850E2/PJ4-E」を製品化することを発表した。同製品は、同社のハイエンドマイコン「V850ファミリ」でシャシー制御と機能安全向けに実績のあるPシリーズの最上位版となっている。新開発のレゾルバセンサ(角度センサ)インタフェースと高度な故障検出技術のDual Core Lockstep(デュアルコア・ロックステップ)を同時に内蔵したことで、HEV/EV向けのモータ制御システムにおいて、高い安全要求と安価なシステム構築を実現する。

同製品は、様々なレゾルバセンサの特性に対応できる新開発のレゾルバセンサインタフェースを内蔵し、従来システムで使用されている外付け変換器(R/Dコンバータ)の削減を実現する。レゾルバセンサ用の励磁信号生成機能(TPBA)と併せて12ビットA/Dコンバータや多機能3相PWMタイマなど、2モータ制御可能な機能を有しており、走行用モータ制御に最適な構成となっている。

Dual Core Lockstepにより常時演算結果の誤りを検出可能で、マイコンのみでリアルタイムに高い故障検出率を達成している。これにより、今後自動車業界で適用されるISO26262における高い安全要求に対応する。

ROMが1MB、RAMが80KBのメモリを内蔵したほか、CPUの最大動作周波数を128MHzに高速化することなどにより、高性能かつ高精度なモータ制御を実現する。また、他の制御ユニットとの協調制御や周辺ICとの通信チャネルの増加に対応できるようCAN、CSI(クロック同期式シリアルインタフェース)、UARTなどの通信機能を搭載している。

動作周囲温度は-40~+125℃に対応する他、外付けトランジスタを使用することにより、5V単一電源動作が可能なレギュレータ回路を内蔵している。

同製品は、2012年3月よりサンプル出荷を開始し、サンプル価格は1個あたり5,000円となっている。2013年4月から月産5万個で量産を計画している。

なお同社では、今回のV850E2/PJ4-Eの他に、「SuperH」ファミリにR/Dコンバータを内蔵したマイコン「SH72AW/AY」のサンプル出荷も開始しており、今後のさらなる走行用モータ制御の高性能化、高機能化に対して、CPU性能向上や内蔵メモリ容量の増加、周辺機能の充実化など、マイコンラインアップの拡充を図っていく方針である。

HEV/EV用モータ向け車載用高性能マイコン「V850E2/PJ4-E」の製品写真