JFEシステムズとSAPジャパンの2社は1月18日、JFEスチールが、SAPのBI(ビジネスインテリジェンス)製品を採用し、販売系の情報活用基盤を刷新、2012年1月より本格稼働を開始したことを発表した。

採用されたのは、SAPの「SAP BusinessObjects Business Intelligence XI 3.1」と、Sybase社のデータウェアハウス用データベースソフトの「Sybase IQ」。

JFEスチールは、処理速度が飛躍的に向上させたことにより、今まで持てなかった膨大なデータを多面的に分析することが可能となり、販売管理の高度化が見込まれる。

JFEスチールで今回、稼働を開始したシステムでは、1日に2万3千件以上の製品の受注、売上、製品の固有情報を把握する現品と呼ばれるデータが管理されている。このシステムを利用する社内ユーザー数は全国約5,000人。管理されている保有データ5千万以上におよぶ。

JFEスチールの従来のシステムでは検索処理速度に限界があり、1件の処理に5分以上を要するケースやタイムアウトするケースが発生し、迅速なデータの収集に支障をきたすことがあった。

これを解消するため、情報基盤の強化の一環として、2003年より利用していた「SAP BusinessObjects BI」を XI3.1にバージョンアップ。これにより分析機能の拡張を図る一方、2011年6月よりデータウェアハウス基盤の強化を目的に、情報システム子会社のJFEシステムズと合同で、2カ月におよぶSybase IQの事前検証を行った。

実データを元に検証した結果、平均で従来比約100倍という圧倒的なパフォーマンスが見込めることが実証されたことで採用を決定した。データ量やカラム数の多いパターンなど、数パターンの検証をした結果、加重平均値で284秒かかっていた処理が2.92秒となる検索性能が見込まれることが実証されている。

採用決定後の本格開発および設計は、JFEシステムズが中心となり、基盤環境の構築・既存システムからのデータ移行設計および開発を行い、3カ月で本番稼動に至っている。