Twitterのアクティブユーザーは1億人を超え、Facebookの登録ユーザーも8億人を突破したと言われている。当然、多数のビジネスマンがこうしたソーシャルメディアを活用しているが、実のところ、従業員のソーシャルメディア利用が企業・組織にもたらすリスクは馬鹿にできない。「企業秘密の漏洩などのリスクがありながらも、プライベートで利用しているだけにソーシャルメディアの管理は難しい」と法律事務所「DLA Piper」のパートナーKate Hodgkiss氏は指摘している。
Hodgkiss氏はSilicon.comへの寄稿(「Staff on Facebook and Twitter? Five Things You Need To Know To Avoid a Social Media Lawsuit」)で、「従業員のソーシャルメディアの利用に対する企業側のルール整備が追いついておらず、早急に検討すべき」とアドバイスする。以下、Hodgkiss氏の提言を紹介しよう。
まず、Hodgkiss氏は企業のリスクを以下の4つに分類している。
(1)企業の名誉・ブランドにダメージを与える
従業員のTwitterやFacebookの利用で難しいのが、仕事とプライベートの線引きだ。利用している側はプライベートのつもりでも、1日の大半を過ごす職場の話が出てきたとしても不思議ではない。
日本でも飲食店でアルバイトしていた学生が有名人の来店情報をツイートして話題になったが、顧客に対面しているスタッフが仕事や顧客の愚痴をツイートすることを想像してみてほしい。たとえ、ハンドルネームでツイートしたとしても、身元を割り出される可能性はある。
意図的ではなかったとしても、自分が勤務する会社について好ましくないコメントや外部を中傷するような発言を書き込んだら、会社にとってはイメージの低下につながる。あるいは、議論を呼ぶような意見、モラルに反した私生活を明かすようなコメントも企業やブランドのイメージを損なうかもしれない。
(2)同僚や上司に対する嫌がらせを行う
では、書き込む内容が同僚や上司に関することだったらどうだろう? 調査では、28%が「同僚や職場の写真を掲示したことがある」、22%が「同僚に関する書き込みをソーシャルメディアで行ったことがある」と回答している。
調査ではまた、企業の31%が自社に関する情報をソーシャルメディアに掲示したために、また、21%が別のスタッフに関する情報をソーシャルメディアに掲示したために、懲戒手続きに至ったことがあることも判明している。
(3)機密情報が漏洩する
発言のしやすさから、従業員が新製品や財務など、企業の機密情報をソーシャルメディアでうっかり(あるいは意図的に)漏らしてしまうリスクもある。企業側もこのことは認識しており、調査では34%がこのリスクを認めている。
(4)モニタリングは違法か?
リスク対策として、従業員のソーシャルメディアをモニタリングするのも手だ。しかし、プライベートで利用するソーシャルメディアを雇用主がモニタリングすることはプライバシー侵害にもなりかねない。トラブル回避のためにも、従業員にあらかじめモニタリングについて知らせておくことをHodgkiss氏は提案している。
では、ソーシャルメディア時代の企業のルールはどうあるべきか? それは「包括的かつ明示的なソーシャルメディアに関するポリシーを作りトレーニングを行うこと」とHodgkiss氏は助言する。これにより、上記の4つを含むさまざまなリスクを回避できるという。
調査では、企業の65%が従業員のソーシャルメディアの利用を奨励しているが、その管理となると遅れており、専用のポリシーを持つ企業は25%にとどまった。ビジネスマンの59%がFacebookを、50%がTwitterを利用しているという。ソーシャルメディアのリスク対策が遅れている企業は、ぜひとも早急に取り組みたいところだ。