ルネサス エレクトロニクスは1月10日、TVのクラウド対応およびマルチルーム(家庭内配信)向けのセットトップボックス(STB)のソリューションとして、小型の「IPネットワーク対応STB」リファレンスボード(評価ボード)を開発し、ビジネスパートナー向けに提供を開始したことを発表した。

同製品は、6.5cm×2.1cm×1.1cmの小型サイズのため、端末を特定することなく持ち歩いて家庭内のTVに代表されるスクリーン・デバイスに接続するだけで、インターネットやサービス事業者から配信されるコンテンツや、放送を録画したコンテンツ、撮影したビデオなどの家庭内コンテンツを容易に楽しむことができるというもの。映像・音声の出力端子がMHL対応版と、HDMI対応版の2種類を用意しており、MHL対応版は、TVなどのMHL端子に直接差し込むだけで快適にコンテンツを楽しめる。また、小型化によるSTBシステムの低コスト化、低消費電力化に貢献すると同社では説明している。

また同製品のSoCでは高機能・高集積化を進めており、ARM Cortex-A9 NEONTM(メディア拡張)を有するARM Cortex-A9コア2個とHDコンテンツをデコード可能なAVエンジンを搭載し、H.264、MPEG-4、VC-1などのフルハイビジョン画質(1080/30p)のビデオ再生が可能となっている。また、低消費電力技術を駆使し、低電力で高性能処理を実現する。さらに、2D/3Dグラフィックスエンジンによる高機能ユーザインタフェースを実現可能な他、高度なコンテンツ保護機能とセキュリティ機能を提供する。

これらにより同製品は、同社従来品に比べ約88%の小型化と1.7倍の高性能化、25%の低消費電力化を実現している。Wi-Fiにも対応しており、ワイヤレスネットワーク対応機器であるタブレットなどとの接続を容易化できるという。

なお同社は、アイティアクセス、アドバンスト・コミュニケーションズ、グルーバ、三信電気、日本システムウエア、リコー、Silicon Imageをはじめとするパートナー各社と連携し、同製品を応用したIPネットワーク対応STBの製品化とビジネス拡大を推進していく方針としている。

ルネサスが開発した「IPネットワーク対応STB」リファレンスボード