帝国データバンクと東京商工リサーチはこのほど、2011年の東日本大震災に関連した倒産の動向調査結果をそれぞれ発表した。帝国データバンクは、関連倒産の累計が510件、このままの推移で行けば2012年3月には累計600件前後に達するとの見通しを明らかにした。一方、商工サーチは関連倒産の累計が532件、東北地区では12月に入って破産手続開始を申請する企業が6件あり、今後も徐々に増える懸念があるとしている。
潜在的な倒産増加リスクは高いまま
帝国データバンクの発表によると、震災発生から10ヵ月目時点での関連倒産は、阪神大震災(174件)の約3倍に達している。12月には倒産件数が3ヵ月ぶりに前月を下回り、発生ペースは緩やかになっているが、依然として津波による直接被害を受けた被災地企業の倒産はほとんど判明していないという。
現在は各種救済措置や復興需要により、一時的に東北地区の倒産が抑制されているが、実質的に経営不能状態にある企業は多く、潜在的な倒産増加リスクは高いと見られる。今後は、円高や輸出環境の悪化、家計の消費マインド停滞など、企業を取り巻く複合的な要因で倒産に追い込まれるケースが増える見通しを示している。
「実質破綻」状態から倒産確定が増加
東京商工サーチでは、震災関連倒産の累計532件に加え、「倒産」に集計されない事業停止や法的手続きの準備を進めている「実質破綻」が30件あることに触れている。一度は減少した震災関連倒産が年末にかけて再び増加したのは、実質破綻から倒産が確定した企業が増えたことが影響しているという。
産業別では全体の23.8%が製造業で最多。宿泊・飲食店などを含むサービス業他が23.6%、建設業が17.4%などがこれに続いている。12月には千葉の水産物加工会社が、震災により魚が入手しにくくなったことや風評被害による販売量減少などから経営を維持できなくなり破産を申請した事例が発生。同社ではこうした食品の風評被害による倒産が今後も増加する可能性があると分析している。