パナソニックは12月27日、回路設計ツール/熱解析ツール/電磁界解析ツールを複数連携させることで統合的な設計を可能とするプラットフォームを開発したと発表した。同プラットフォーム上に、独自のGaNデバイスモデルと基板の寄生成分モデルとモータモデルを搭載した他、知識処理を用いて複数のツールを自動的に結合することで、設計に熟練していない技術者でも容易に省エネ性能を向上できるという。
同プラットフォームに導入された高精度なGaNデバイスモデルの開発に際しては、電子が捕獲される現象をデバイス物理原理から解明し、電子捕獲現象が電気回路網として表記できることを発見。このモデルをプラットフォームに導入することで、高速駆動時の回路特性の正確な評価が可能になったという。
また、従来は高周波回路でしか検討されてこなかった配線の寄生成分を、周波数は低いが電流量の大きなパワーエレクトロニクスにも適用し、基板配線パターンからの寄生成分を算出して等価回路へ変換することで、パワーエレクトロニクス回路への自動導入を実現したほか、寄生成分の導入により、ノイズまで忠実に再現する高精度な統合設計が可能であることを実証したという。
さらにオントロジーマッピングを応用した知能処理により、ツールごとに異なるデイバス名称を自動的に符合できることを発見。これにより、デバイスの自動対応付けが可能となり、異なる設計ツールの自動結合による一体駆動を実現したという。
これらにより、同プラットフォームでは、1つの設計ツールを使っている感覚で複数の特性を同時に把握することができる他、民生機器の様々な分野への活用が可能であるため、試作時点での機器全体の特性の把握と設計へのフィードバックが容易に実現でき、開発の効率向上が可能になるという。
なお同社では、将来的には、分散処理シミュレータを用いてクラウド化することで、どこからでも使用可能なパワーエレクトロニクス統合設計プラットフォームの提供を目指す方針である。