ソニーとSamsung Electronicsは12月26日、両社が行ってきた大形液晶パネル製造の合弁会社「S-LCD」に関し、新たな提携関係への移行に関する契約を締結したことを発表した。同契約に基づき、ソニーが保有するS-LCDの全株式をSamsungが取得することとなり、S-LCDはSamsungの100%子会社となる。譲渡金額は約1兆800億ウォンで、全額現金で支払われる予定で、必要とされる関係当局の認可を取得した上で、2012年1月末日までに完了する見込みだという。
また、同契約に併せて両社は、互いの競争力強化を目的にSamsungからソニーに供給する液晶パネルの取引に関する戦略的な契約も締結したことを明らかにしており、これには両社が引き続き液晶パネル分野で技術協力を行うことも意図されたものとなっているという。
S-LCDは2004年4月に韓国に設立され、第7世代および第8世代基板を用いて大型液晶テレビ向け液晶パネルの製造を行ってきた。
ソニーでは、S-LCDの譲渡により、保有株式の現金化および生産工場の運営に伴う責任や費用負担なく、液晶パネルをSamsungから市場価格をベースに柔軟かつ安定的に調達することが可能になるとする一方、Samsung側も、100%子会社化により、パネル製造と事業の運営について、柔軟性を高めることが可能となり、迅速化および効率化を図っていくことが期待できるとしている。
なお、今回の取引に伴い、ソニーでは、2011年度第3四半期において、自社が保有するS-LCD株式の再評価により、約660億円の現金支出を伴わない減損損失を計上する見込み(為替レート変動に伴う損失含む)とするほか、2012年1月1日以降、液晶パネルの調達に関して相当額の費用削減を見込めるとのことで、2011年12月26日現在の費用削減額は2011年度の費用(見込み)比で年間約500億円程度としている。