デザインとテクノロジーをテーマに、Web業界のキーパーソンが出演する「FITC Tokyo 2011」が開催された。前回のレポートしたアドビプリンシパル・プロダクト・マネージャーのマイク・チャンバーズ氏のセッションに続いて登壇したのは、Flashクリエイター / アニメーターのポエ山氏。日本のFlashアニメブームの牽引者である。そんなポエ山氏が、過去 / 最新の作品、今後の展望を通じて、Flashの魅力を語った。
はじめに紹介された作品が「ゴルゴ」と読めてしまいそうだが『ゴノレゴシリーズ』。本シリーズは、ゴルゴ13の主人公「デューク東郷」にあくまでもそっくりな男性「ゴノレゴ」が吉野家を訪れる客についての愚痴を語るアニメーション作品。2001年、まだポエ山氏が学生時代に発表されたFlashアニメで、当時爆発的にブレイクした。2006年には文化庁主催の「日本のメディア芸術100選」にも選出されている。
この作品を例に、日本でFlashアニメが流行したきっかけを「俺でも作れそうじゃね?」と思わせる手作り感、YouTubeなどの動画サイトの台頭だと語る。またクリエイターにとっては、ローコスト、制作期間が短い、画が動かないので簡単というメリットがある。『ゴノレゴシリーズ』の『吉野家』という作品は、制作期間が4時間だそうだ。
ポエ山氏が考えるFlashアニメの魅力は「モーショントゥイーン」だそうだ。モーショントゥイーンはタイムラインのアニメーションの開始点と終了点のキーフレームを作成するだけで、中間の処理はすべてFlashによって作成される非常に効率の良い方法である。いわゆる「アニメーター」はたくさん絵を描くことを重要視するが、「Flashアニメーター」は、いかに少ない枚数の絵をたくさん動かし、使い回すかを重視する。会場ではモーショントゥイーンを活用した代表作が紹介された。FlashとAfter Effectsを併用することで、いかに少ない画で多彩な映像が制作されたかが感じられる作品だ。
実際にモーショントゥイーンを使用し、アニメーションに登場する女の子を走らせる、髪の毛を動かす、というプロセスが実演された。
スクリプトを使ったアニメーション制作も実演がなされた。
ミュージックビデオ内で登場した構造物が崩れるシーンでは、構造物の素材にあたり判定オブジェクトを組み込み、物体が衝突すると崩れるというスクリプトを書いた。手動でアニメーションをつけるよりも、スクリプトを使ったときの方が早いこともあるという |
最後に、直前のセッションでアドビが発表したFlashの今後の方針について、アニメーション制作ツールへの注力をリクエストして、ポエ山氏はプレゼンテーションを締めくくった。