12月に入り、今年も残すところ1カ月を切った。年末年始のクリエイティブトピックといえば、クリエイターのお年賀コンテンツが挙げられるだろう。中でも、“年賀状”は新年最初の腕の見せ所として毎年注目を集めており、クリエイターが製作した年賀状を集めた展覧会も毎年開催されている。

クリエイティブチャンネルもクリエイターがデザインする年賀状には注目しており、今回は今年4月の事業本格化から先日開催されたTOKYO DESIGNERS WEEK 2011での出展、そして海外進出と話題に事欠くことなく、一年間躍進を続けたクリエイティブ集団「蝉 semi」の年賀状制作に密着する。また、年賀状制作には、印刷通販「アルプスPPS」に協力してもらっている。

「蝉 semi」のメンバー。左から、鎌田慎也氏、鹿毛雄一郎氏、石川大輔氏

リサイクル素材を使用した彼らのプロダクト。「TDW2011のバナーから製作したiPhone case」

姿勢を表す年賀状だからこそ、こだわったものに

年賀状で使用する素材を撮影するために、蝉 semiのメンバーは群馬県高崎市の榛名神社に向かった。この神社は、586年に創建された伝統ある神社で、標高は1,400メートルほどある。この神社が撮影場所に選ばれた背景には、代表の石川さんの地元が群馬県で自身が幼少期に訪れた経験があったこともあるが、その場所に蝉 semiが大切にする「ホンモノ志向」を感じたからだという。

榛名神社の風景

「モノづくり、鞄をつくることへのオーセンティックな姿勢を伝えたかった」と蝉 semiの鎌田さんは語る。「長年の伝統が蓄積されたブランドには、信用があるが、事業が本格化してから1年も経っていない僕らは違う。まだまだ蝉 semiのことを知らない人はたくさんいるし、プロダクトへの理解だってこれからもっと深めていかなくてはいけない。駆け出しではあるけれども、信頼できるブランドであることを伝えたかった」

榛名神社でのプロダクト撮影

撮影当日のコンディションは決して良くなかった。また、神社が山奥に位置するため撮影に耐えうるだけの光のある場所、そして時間帯はほんの少しと限られている。

崩れたコンディションの中での撮影風景

 そして今回出来上がった年賀状のデザインがこちら。

年賀状デザイン

作り手の都合で生じた妥協は必ず消費者に伝わる

年賀状のコピーには「正直なもの作り」という言葉が用いられている。蝉 semiは、マスプロダクトを生産する大企業であれば効率性の観点から妥協してしまいそうな箇所にもこだわっている。

例えば、iPhoneケースの表面から打っているボタン。裏面にはその金具部分がむき出しになっているのだが、ただ布をあてて裁縫するだけでなく、裏面からもボタンを留めて、さらに裁縫する。裏面をボタンで留めないと時間が経ったとき、iPhoneのディスプレイに金具がこすれたようなキズがついてしまうからだ。また、バッグの頻繁に開閉を繰り返す箇所にははずれやすいボタンを、めったに開閉しない箇所にははずれにくいボタンといった具合にボタンの種類を使い分けるなど、自信の経験を通じて、日々改良を重ねている。

「作り手の都合で生じた妥協は必ず消費者に伝わる。作り手のこだわりは消費者にはすぐには気づかれないかもしれないけど、伝わったときの感動は大きい」。そんな蝉 semiの強い所信表明が年賀状のデザインに表れている。

12月には現状のWebサイトにECページを設ける予定。また、2012年も今年と同様にイベント、店舗への出品、新しいプロダクトの製作を積極的に展開していくと同時に、生地を提供してくれるパートナーを増やすことに注力していくそうだ。

年賀状の入稿作業~サービス申し込みは印刷通販「アルプスPPS」のウェブサイトから行える。特設の「お年玉付年賀はがき」コーナーにて、年賀状専用フォームをダウンロード、必要事項を明記しメールまたはFAXからの注文となる。また、デザインや絵柄に関して、実際の官製はがき印刷の場合は周囲に余白が必要である。詳しくは同社webサイト年賀状ページにて。

アルプスPPSサイト

年賀状ページ

データは別途メールで送る。官製ハガキでの制作、単面もしくは4面付きはがきの選択が可能だ。単面はがきはフルカラーで300枚18,000円から、4面付きはがきは300枚21,000円から受け付けている。納期は7日間の予定。

官製ハガキでの価格

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新年最初のクリエイティブ=“年賀状”に、今年は一手間かけてみてはいかがだろうか。