日立化成工業は、半導体回路平坦化用研磨材料(CMPスラリ)の事業拡大に向け、台湾の台南地区に約20億円を投じて「台湾日立化成電子材料(仮称)を設立し、2013年4月より生産を開始することを決定したことを発表した。
CMP(Chemical Mechanical Planarization:化学的機械研磨)は、半導体の素子分離工程や回路形成工程で発生した凹凸を研磨、平坦化する技術で、CMPスラリはこの用途に使用される研磨液。同社は、半導体の素子分離方法の1つであるSTI(Shallow Trench Isolation)用および銅配線用のCMPスラリを製造しており、STI用では高いシェアを有しているという。これまでは茨城県の山崎事業所で生産を行っており、半導体市場の伸長に伴う需要増に対応し複数回にわたり生産能力を増強させてきたが、近年、電子機器の小型化と高性能化に伴い半導体のデザインルールの微細化に対応した製品への需要が伸びていることから、さらなる生産能力の増強が必要となってきていたという。
一方、2011年3月に発生した東日本大震災以降、海外のカスタマを中心に事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)に対応した取り組みへの要求が高まってきたことを受け、生産の複数拠点化によるリスク分散という観点から、製造拠点の新設に関する検討を実施、その結果、半導体メーカーの多くが生産拠点を持ち、世界でも有数の半導体市場である台湾に、新会社を設立することを決定したという。
スケジュールとしては、約20億円を投じて2012年度上期に会社を設立ならびに工場建設に着手し、2013年4月の生産開始を目指す。その後生産能力を段階的に増やし2015年度にはSTI用CMPスラリの生産能力を現状の50%増まで増強する予定としている。なお、新会社の資本金は15億円で、量産開始時の従業員数は約50名を予定している。