ルネサス エレクトロニクスは12月20日、自動車の室内灯スイッチおよびエンジン制御用ソレノイドや各種センサの駆動用のパワー半導体「サーマルFET(過熱遮断機能内蔵型MOS FET)」として、低損失化を実現した5製品を発表した。

すでにサンプル出荷を開始しており、サンプル価格はDPAK(9.5×6.5mm)採用の「RJF0604JPD」、「RJF0605JPD」、「RJF0611JPD」が100円/個、LDPAK(10.2×13mm)採用の「RJF0606JPE」、「RJF0611JPE」が200円/個となっている。量産は2012年4月から開始し、2015年4月以降は合計で月産50万個を計画している。

今回の開発に際しては、旧ルネサス テクノロジと旧NECエレクトロニクスとの会社統合効果によりサーマルFETに最適なプロセスを選択、発展させた新型Nチャネル微細プロセスを採用した。パワーMOSFETのセル構造を最適化したことにより、同社従来プロセス比で約25%オン抵抗を低減した。これにより、60V耐圧、30AのRJF0606JPEでは、オン抵抗が25mΩ(VGS=4V時)までと低く、電力損失を抑えられるため、システムの高効率化による省電力化が図れる。従来品と同程度のオン抵抗品はより小型のパッケージに搭載することができるため、セットの小型化に貢献する。

また、これら新製品は、内蔵する過熱遮断機能における電流制限回路の電流制限値を最適化したことにより、24Vバッテリ使用時の負荷短絡においても製品が破壊しないよう保護し、システムの信頼性向上に貢献する。乗用車などの12Vバッテリに加え、トラック、商用車などの24V系バッテリ使用のアプリケーションにも対応可できるほか、車載部品の品質規格AEC-Q101にも準拠している。

なお、同社では今後は同プロセスを活用し、SOP-8などの小型パッケージへの搭載や2出力品、さらなる低オン抵抗品などのラインアップを順次展開していく方針としている。

ルネサスの車載用サーマルFET