エスアイアイ・ナノテクノロジー(SIIナノテク)は12月19日、リチウムイオン2次電池や燃料電池の電極中に混入する可能性のある20μm級の微小な金属異物を高速検出、元素同定する検査装置「SEA-Hybrid」を発表した。
リチウムイオン電池や燃料電池を構成する電極材料やセパレータなどへの金属異物混入は、電池容量の低下や寿命を短縮させるだけでなく、発熱発火の原因ともなる。同装置は、試料となる電極板やセパレータ、容器に入れた活物質をセットして、検査条件の選択後、測定を開始するだけで、X線透過像の撮像から、金属異物の検出、その元素同定までを自動で実行することが可能である。従来の電極板に存在する可能性のある20μm程度の微小金属異物の検査では、内部に異物が存在しても、そこから発せられた蛍光X線は素材自体に吸収され、信号強度が微弱になってしまうことからサンプル表面に存在するもののみ同定が可能であったが、同装置では、独自の高輝度X線光学系の搭載により、電極板・有機フィルム内部に含まれる20μm程度の微小金属異物についても元素同定が可能となっている。
また、解析結果として、試料中の金属異物の個数と個々の異物の組成、およそのサイズ、顕微鏡観察像が出力され、これにより金属異物の混入経路の特定を容易に行うことが可能だ。
さらに、従来のX線透過検査装置では250mm×200mm(ほぼB5サイズ)の電池電極板中から20μm程度の微小金属異物を検出するためには10時間程度の撮像時間を要していたが、独自のX線透過法を採用したことにより、撮像時間を短縮したほか、検出速度も従来比100倍以上高速となる3~10分への短縮を実現したという。
なお、同製品の価格は5800万円(税別)からとなっており、同社では、電池メーカー、材料メーカーなどへ拡販していくことで、2012年度で20台の販売を目指したいとしている。