ルネサス エレクトロニクスは、白物家電のAC(交流)モータやソレノイド、ヒータ駆動用トライアック(パワー半導体)として、マイコンからの低電流で直接駆動(トリガ)が可能な電流8A、耐圧700V対応のトライアック「BCR8LM-14LK」を製品化し、2012年1月よりサンプル出荷を開始すると発表した。
トライアックは交流回路の制御電源スイッチに用いられるが、駆動電流(ゲートトリガ電流:トライアックをオンさせるために必要な電流)(IGT)が大きいため、通常マイコンからの出力電流を増幅する回路が必要となっている。また、トライアックは通常30mA以上のゲートトリガ電流が必要であり、マイコンからの低電流出力に対応するべく12mA程度に低減すると、トライアックで重要な特性項目である転流特性や、誤動作防止のための臨界オフ電圧上昇率(dv/dt)が悪化してしまう問題があった。
BCR8LM-14LKでは、ゲートトリガ電流を小さくするための基本構造の構築、デバイス構造およびプロセスの最適化し、従来からの特長である高い転流特性((dv/dt)c)10V/μsを維持しつつ、トレードオフの関係にあるゲートトリガ電流を12mA以下に低減。これによりマイコンからの直接トリガを実現する他、従来必要であったトライアック用の増幅回路が不要となり、電源の小型化および部品コスト低減、低消費電力化が可能となった。
なお、同製品のサンプル価格は1個80円で、量産は2012年3月から開始し、2013年3月には月産300万個を計画している。
加えて同社では同製品の8A対応のほか、12A、16A、20A対応品をシリーズ展開する計画。また、パッケージも今回の絶縁TO-220FL(UL認証取得)パッケージに加えて、非絶縁外形のラインアップを計画するなど、幅広いニーズに対応していく方針としている。