Cymer Vice PresidentのNigel R.Farrar氏 |
半導体露光装置の光源などを手がける米Cymerは、12月5-7日に千葉県・幕張メッセにて開催されたSEMICON Japan 2011において記者説明会を開催し、同社Vice PresidentのNigel R.Farrar氏が同社のリソグラフィ光源開発の状況を明らかにした。
半導体の微細化の牽引役であるリソグラフィ技術は、20nm以降のプロセスノードを睨み、EUVの導入が実現するのか、それともArF液浸を延命せざるをえないのかに注目が集まっている。
露光装置の光源を供給するCymerとしても、EUVの早期導入とArF液浸の延命と2つの展開を両睨みで進めており、EUVについては量産で要求される光源出力の向上を進めている。また、ArF液浸の延命については、DUV光源の性能および生産性の向上に努めているという。
2012年半ばに第1世代EUV光源で出力100Wを達成
EUV光源は、LPP(Laser Produced Plasma)方式とDPP(Discharge Produced Plasma)方式の2つの方式があるが、Cymerは励起にCO2レーザを用いたLPP方式を採用している。すでに第1世代光源「HYM I」を製品化し、現在までに8台完成させており、そのうち4台はユーザーのパイロットラインで稼働し、プロセス開発に使用され、5台目も現在ユーザーのサイトに設置中だという。残る3台のうち1台はASMLにおいて試作用EUV露光装置「NXE:3100」の開発に用いられ、2台はCymerにてアップグレードや信頼性改善に向けた開発に用いられている。
EUVの光源出力は、量産での実用に集光点出力100Wが必要とされている。HVM Iは最初の出荷時に100Wを達成できていなかったが、現在は自社工場での検証を終えているという。最近の改善点としては、コレクタミラーの寿命を2011年2月の時点から4倍向上した他、励起用のCO2レーザの安定化および高出力化を進めている。今後は2012年半ばをめどにユーザーのサイトでHVM Iの集光点出力を35Wから100Wへと段階的にアップグレードしていく計画。
第2世代EUV光源は2012年第2四半期に出荷
第1世代に続く第2世代のEUV光源「HVM II」は、ASMLの量産用EUV露光装置「NXE:3300」向けに開発が進められている。2012年2月に最初の出力を行い、同年第1四半期中に評価し、同年第2四半期に出荷する予定。
量産導入に向けて露光装置のスループットを上げるため、量産用光源ではさらに高い出力が求められているが、HVM II出荷時の集光点出力は計画の250Wを下回る可能性があるという。
DUV光源向けに第3世代ガスコントロールシステムを導入
一方、ArF液浸の延命に向けたDUV光源の取り組みとしては、ガスコントロールシステムの第3世代品「iGLX」を導入している。同システムはDUVレーザで用いるガスを長寿命化する他、ガスの補充・詰め替えによるダウンタイムを削減するもの。
iGLXは自動でガスの最適化を行う他、ガスの寿命については第2世代品「GLX-2」の20億パルスから40億パルスまで長寿命化を実現しており、これにより、ArF液浸露光で用いられるArFレーザの生産効率を向上させることが可能になるという。