スターティアラボは11月4日、11月14日~12月27日まで、KDDI飯田橋オフィス等において、タブレット端末で視聴される旅行商品のデジタルパンフレットを活用した実証実験を行うと発表した。この実験では、パンフレットにスターティアラボが提供する「デジタリンクActiBook」を利用している。そこで、今回の実験の狙いについてスターティアラボ、KDDIの担当者に話を聞いた。
「『デジタリンクActiBook」(以下、ActiBook)』は、簡単に電子ブックを制作できるソリューションです。オフィスソフトを扱う程度の技術さえあれば簡単に作業を行うことができるシンプルさと、1回の作業でPCだけでなくタブレットやスマートフォンなど、マルチデバイスに対応した電子ブックを制作できるのが特徴となっているので、一般的にいう電子書籍・電子雑誌だけでなく、企業内に存在するパンフレットやマニュアルといった紙媒体の電子化に特に威力を発揮します」と語るのは、スターティアラボ 企画室 リーダー ビジネスプランナーの津田春生氏だ。
そのほか、Google Analyticsとの連動により、コンテンツの閲覧履歴が取得できる。例えば、電子ブックのアクセス数のほか、ページ滞在時間やどのページを拡大してい るか、どのデバイスを利用しているかなどだ。今回の実証実験でも、採取したアクセスログの分析が行われる予定だ。これにより、どのページのコンテンツが注目されているのかといった情報を取得し、マーケティングに活かす予定だ。
旅行パンフレットを電子化してオフィス等に設置
実証実験では、KDDI側がActiBookを利用して電子パンフレットを作成しマーケティング活用等、同社が提供するソリューションの付加価値向上を模索する。
「我々は、テレビ中継など大容量の映像コンテンツを高品質に伝送するビジネスに携わってまいりました。これまでのノウハウを生かし、高品質な電子ブックの配信ソリューションが展開できないだろうかと考えた時、出会ったのがActiBookでした」と語るのは、KDDI ソリューション推進本部 ソリューション5部 メディアソリューション推進グループの課長である古谷信雄氏だ。
スマートフォンやタブレットが大流行している今、PCだけでなくタブレットに向けて配信できる高品質なコンテンツはないだろうかと考えた時、浮かび上がったのが旅行パンフレットだったという。
「旅行商品を扱うパンフレットを電子化しました。ただ、紙媒体をそのまま電子化するのではなく、映像等の新たな素材も 加えた電子パンフレットです。これを閲覧できるAndroidタブレットをKDDIオフィス内に5台程度設置しています」と、古谷氏は実験の概要を説明する。
実験で使われる旅行カタログは全部で5P、4Pが国内旅行、1Pが海外旅行となっている。KDDIオフィス等でユーザーはタブレットに触れ、 自由にパンフレットを閲覧しながら旅行を検討するというスタイルだ。紙媒体には存在しない魅力として、より旅行先の様子を伝えられる動画コンテンツも取り 入れている。
「電子ブック作成の作業自体は簡単でした。細かい設定はActiBookの画面で簡単に設定できますから、もし今後本格的に導入することになっても、電子パンフレット作成専門のスタッフを用意する必要はなさそうです」と、古谷氏はその扱いやすさを指摘する。
電子ブックでBtoBtoCモデル
今回の実証実験では、電子パンフレットの自由な閲覧によってサービスに付加価値を加えることと、その閲覧履歴を取得することでマーケティングに活かすことが目的だ。
「どういうデータが出てくるのかが楽しみですね。電子ブックというと一般的にBtoCのビジネスですが、マーケティング機能が搭載されていることや、動画等によって魅力的なコンテンツ配信ができサービス価値が向上することを考えると、これはBtoBtoCのモデルです。電子ブックの新しい使い方になると思います」と古谷氏は語る。
紙の資産を活かしつつ、電子ブックの機能を活かす
ActiBookにはWebとの連携機能も盛り込まれている。当然、パンフレットで気に入った商品を購買までつなげることも可能だ。また、パンフレットへの書き込み機能や、twitterとの連携など、ソーシャル機能も搭載されている。
「ユーザーがペンツールや付箋ツールを利用することで、コメントやアンダーラインなどの情報を電子パンフレット上に付加することができます。さらに情報を付加した電子パンフレットを共有機能(twitterやメールへの連動)を利用することで特定者間、不特定他者間との情報のシェアが可能となります。さらにフォロワーが追記して・・・、という具合に、コミュニケーションの中で使っていくことができます。紙のパンフレットや販促物には無い、新たな情報連鎖のかたちになれば」と津田氏。
ページの滞在時間や動画をどこまで再生したかというようなアクセスログは、Googleアナリティクスで示される。紙媒体では媒体そのものの配布数などでしか得られなかったユーザーの興味について、より細かく検証できることは、マーケティングに大きな影響をもたらすだろう。