Mentor Graphicsは、エレクトロニクス業界向けに熱特性評価と熱シミュレーションを融合した解析ソリューションを発表した。同ソリューションは、半導体パッケージ向けの高度な熱特性評価テスタ「T3Ster」と、高度な3次元熱流体解析(CFD)を使用して仮想プロトタイプを実装し、電子システムの気流、温度、熱伝導をシミュレーションすることが可能な「FloTHERM」を連携させたもの。

T3Sterは、半導体デバイス・パッケージとLED向けの過渡熱テスタ。一方のFloTHERMは、電子機器の熱シミュレーションと熱解析を実行して、部品、基板、システム全体など電子機器内外の気流、温度、熱電導を予測することができるツールとなっており、今回、これらを独自インタフェースにより接続することで、正確な熱シミュレーション・モデルをシームレスに定義できるようにした。同ソリューションは、JESD51-14の規格に準拠する唯一の市販製品であるという。

IC/LEDベースの電子システムにおける熱管理と対応ソリューションのイメージ

機器の高性能化、高密度化の進展により、故障などの信頼性低下の主要因として温度の問題が顕著になってきている。IEEE 1413規格では、システムを実装する全レベルで正確な熱データの必要性を認めており、LED、半導体、パッケージ部品の情報に基づいてサブシステムやシステムを設計しているエンジニアは、複雑な熱解析ソフトウェアを使用して製品設計を進めているものの、ベンダ提供のデータシートに依存した解析では多くの場合、十分な結果を得ることができないという課題があった。

「解析に欠かせないのは、上流側と下流側の熱特性評価に関する確実で利用可能な信頼性の高いデータだ」(同社Director of Market Development Systems Design DivisionのJohn Isaac氏)であり、同ソリューションを活用することで、デバイス、サブシステム、システム全体の熱管理を最適化することが可能となり、それぞれのベンダがそれぞれの分野においてシームレスに評価・検証を行うことが可能となるという。

統合された熱特性評価-モデリング-シミュレーション-テストの一連のソリューションを実施可能。それらの対象者は半導体パッケージ/LEDのサプライヤであったり、システム開発者であったりする

また、これにより、パッケージ特性の評価測定によって、熱抵抗や熱容量を含むパッケージ構造の内部を理解できるようになるため、測定した構造にあたる設計上の具体的な部分ついての情報を確認できるほか、その接続関係や厚みを正確に把握するのは難しいことからモデル化するのがかなり困難なサーマル・インタフェース・マテリアルに対しても、マテリアル抵抗に基づきT3Sterでパッケージ熱測定を実行し、その後FloTHERMを使用して、熱測定結果から正確なモデルを作成することが可能となることから、正確なモデル定義や製品設計上の不良の特定、製造品質のチェックが可能になるとも同社は説明している。

半導体パッケージ向けに3D熱モデルを用いて検証することが可能となる

なお、T3SterとFloTHERMの融合ソリューションは、すでに入手が可能となっており、半導体パッケージやLEDから プリント基板(PCB)、そして完全なシステムにいたる機器の開発におけるシステムの最適な信頼性を確保するための包括的な熱シミュレーョン環境を構築することが可能となっている。