東芝は12月13日、放射線量を色の変化で表示することと持ち運びが可能なポータブルガンマカメラ装置を開発したと発表した。同社は12月中に福島市と共同で実証実験を行うとともに、2012年初頭から中央官庁や地方自治体などに提案活動を開始する。

東芝が開発した放射線量を色の変化で表示可能なポータブルガンマカメラ装置

同装置は、放射線センサで測定したガンマ線とビデオカメラで撮影した映像を信号処理装置で重ね合わせることで、放射線の量を色の違いで表示する。具体的には、放射線量が高い場所は赤く、低くなるにつれ黄色、緑、青と色を変えて表示する。

ポータブルガンマカメラ装置の測定結果のイメージ

これまで局地的に放射線量が高い「ホットスポット」の特定には時間がかかっていたが、同装置では、放射線量の高低を画面上に色の変化で示すと同時に、短時間で広範囲を計測することができるので、ホットスポットの特定が容易になるという。

同装置は、福島第一原子力発電所の建屋内の調査のために使用したガンマカメラの性能を向上させ小型化したもので、独自の半導体検出素子の実装技術や信号処理・データ処理技術により感度・測定性能が約30倍以上高められている。これにより、0.1μSv/時間(1mSv/年)という、低い線量率における「ホットスポット」を特定することが可能。

加えて、周囲からの放射線を遮蔽しながら放射線映像を取得するための遮蔽体設計の最適化や電子回路のコンパクト化により、重量9.8キログラムと約50%の軽量化も実現されている。