グーグルは12月9日、Google+を担当する米Google Vice PresidentのBradley Horowitz氏の来日に伴う記者説明会を開催した。Horowitz氏の口からは、GoogleにおけるGoogle+の意義や、他のSNSに対する優位性などが紹介された。

相手に合わせた、現実に近い投稿を促す「サークル」

米Google Vice PresidentのBradley Horowitz氏

説明会の中でHorowitz氏が特に強調したのが、Google+の中で採用している「サークル」という概念と、「ハングアウト」と呼ばれるビデオチャット機能である。

これらのうち、サークルに関しては、「後発のSNSサービスであるがゆえに取り入れることができた特徴的な機能」と説明。ユーザー調査で浮かびあがった既存のSNSの課題として「友人も、先生も、母親も同じようにつながっており、全員に共通する当たり障りのないものしか発信できない状況にある」と指摘したうえで、「現実世界のコミュニケーションでは状況や背景を踏まえて行動をとる。Google+では、それと同じ状況を作るために"サークル"という概念/機能を取り入れた」とコメントした。

Google+では、友人登録したユーザーを一緒くたにせず、「Friends」、「Family」、「Acquaintances(知り合い)」、「Following」といったかたちで分類することができる。この分類の単位がサークルと呼ばれ、それぞれのサークルに対して個別にメッセージを発信(情報共有)できる仕組みになっている。もちろんサークルは新しいものを自由に作成することが可能。高校の友人、大学の友人、職場の友人など、細かく分けることができる。

また、サークルは投稿の度に指定することになる。そのため、「Google+では常にだれに発信するのかを考え、プライバシーを意識するようになる」とHorowitz氏。これまでのSNSにはなかった大きな技術革新であることを説明した。

簡単、無償のビデオチャット機能「ハングアウト」

一方のハングアウトは、複数のユーザーがリアルタイムに会話できるビデオチャット機能になる。プライベートに限らず、ビジネスでも利用することが可能だ。「ビデオ会議というと、会議室に設置された高価な機材を使って行うものと考えている方もいると思うが、ハングアウトはだれでも簡単に無償で利用できる」と、Horowitz氏はその利便性を強調した。

また、これまでのハングアウトは同時に利用できる人数が10人に限定されていたが、「これではアーティストのファンサービスなどには利用できない」(Horowitz氏)と説明。新たにハングアウトオンエアーという機能を組み込み、ブロードキャストできる環境を用意したという。前日には、AKB48とともに会見し、AKB48のライブを配信することも発表している。

また、Horowitz氏はハングアウトの事例として、外科手術で利用されたことを紹介。米国の田舎で少年が銃で撃たれるという事件が発生したとき、その町には高度な技術を持った外科医がいなかったが、都市部にある大病院の外科医とハングアウトでコミュニケーションをとり、手術を成功させることができたという。「サービス開始当初は想定もしなかった利用事例」と驚きを表現した。

Google+を使い込むとGoogleのサービス全体がより便利になる

Horowitz氏によると、Google+は他のGoogleのサービスとは位置づけが異なるという。「Googleの通常のサービスが『プロダクト』として扱われているのに対し、Google+は『プロジェクト』として立ち上げられており、米Google CEOのLarry Pageによる全面的なサポートを受けている状況」(Horowitz氏)だ。

Horowitz氏は、Google+がプロジェクトとされている意図について、「Chromeやモバイル端末も含めて、Googleの既存のサービス/プロダクト群をすべて統合するものであり、長期にわたって発展的な開発を続けていくものであることから」と説明。さらに、Googleのサービス群について「検索、地図、YouTube、Gmailなど、同一のIDでこれほど多くのサービスを利用できるものはほかにない」としたうえで、Google+に関して各サービスのユーザーをつなぐ"横串"のサービスとして紹介し、「Larryは四半期決算で、Google+をリリースしたので、次は"Google"(という統合的なプロダクト)を出荷すると語った」とのエピソードを紹介した。また、Google BazzやGoogle Wave、Orkutといった、これまでに同社が提供してきたソーシャル系サービスとは、そもそものレイヤが異なるものであり、「それらの拡張では対応できなかった」(Horowitz氏)という。

なお、今後については、検索やマップなど、さまざまなサービスとの連携を深めていく予定だ。「Google+を使ってもらえれば、どんなことに関心があって、どんな知り合いがいるユーザーなのかがわかるようになる。それを検索やマップなどのサービスでも活かしていく」とし、来年はもっとエキサイティングな発表ができるだろうと期待を煽った。