Xilinxは2011年12月8日(仏時間)、同社のエクステンシブル・プロセッシング・プラットフォーム(EPP)「Zynq」の第1弾シリーズ「Zynq-7000」の初製品として「Zynq-7020」の出荷を開始したことを発表した。
Zynq-7000シリーズは、リアルタイムで高性能を実現するアプリケーションへの対応が求められるシステムにおいて、従来のプロセッシングソリューションで可能なインプリメンテーションを凌ぐレベルのパフォーマンスを実現することが可能なデバイス。開発およびインプリメンテーションにおいては、エミュレーションプラットフォームやハードウェア開発ツール、オープンソースLinuxのサポートのほか、Cadence Design Systemsと共同開発によるエクステンシブルバーチャルプラットフォームが提供されているほか、サポートOSの増加に伴い、エコシステムで提供されるエンベデッドツールおよびソフトウェア設計のソリューションの拡大も図られているという。
また、ARMデュアルコアCortex-A9 MPCoreと、Xilinxの28nmプロセス採用FPGAアーキテクチャを組み合わせたため、Cortex-A9ベースのシステムおよびFPGA上のカスタム アクセラレータとペリフェラルの開発を並行して行うことができるという特長を持つ。これによりソフトウェア設計者は、EclipseベースのプラットフォームであるXilinx Platform Studio SDKや、ARM Development Studio 5(DS-5)、ARM RealView Development Suite(RVDS)を利用して開発ができるほか、Enea Services Linkoping AB、Express Logic、Lauterbach Datentechnik、The MathWorks、PetaLogix、Mentor Graphics.Micrium、Wind River SystemsといったARM Connected Communityや、Xilinxアライアンスプログラムのエコシステムに参加する大手ベンダが提供するコンパイラやデバッガ、アプリケーションを活用することも可能となっている。
さらに開発者は、Xilinxの開発プラットフォーム「ISE Design Suite」を使用してZynq-7000ファミリのプログラマブルロジックを目的に合わせてカスタマイズすることで、システムレベルの性能を最大化し、アプリケーションごとの要件に効率よく対応することが可能である。ISE Design Suiteは、開発ツールおよびAMBA4 AXIバスプロトコルに準拠したプラグアンドプレイIPコアやバスファンクショナルモデル(BFM)を含む総合的なハードウェア開発環境を提供しているため、短期間での設計および検証が可能である。
これに加えてXilinxは、有線/無線通信および放送機器向けビデオ処理をターゲットとするハイエンドアプリケーションの要件に対応することを目的に「Zynq-7040」の置き換え用デバイス「Zynq-7045」を発表した。同ファミリのトランシーバ性能は従来の12.5Gbpsから16Gbpsへと高性能化が図られており、これにより対応する機器間接続などのアプリケーションを拡大することができるようになるほか、より高速なDAC/ADCへの接続を実現することが可能となる。
さらに、プログラマブルロジック機能(DSP、BRAMおよびロジック)も強化されており、フィルタリング、デジタル変換などの高度な信号処理機能を可能としたほか、特定の機能をカスタマイズすることもできるようになっている。
なお、Zynq-7020の初期サンプル品は、アーリーアクセスプログラムの参加ユーザー向けに出荷を開始しており、2012年下半期に量産品質デバイスの出荷が開始される予定となっている。