新日本製鐵(新日鉄)は、同社技術開発本部先端技術研究所において6インチ(150mm)口径のSiC単結晶ウェハを開発したことを発表した。

SiCはシリコンに代わる次世代パワー半導体材料として期待されているが、実製品に用いられるウェハは欠陥などの問題から3もしくは4インチ(100mm/125mm)にとどまっており、量産規模の拡大や低価格化を妨げる要因の1つとなっていた。

今回の150mm化により、家電用インバータやIT機器用電源、太陽光発電用パワーコンディショナ向けSiCデバイスの生産効率が向上するほか、より大面積なデバイスの製造も可能となるため、電気自動車やハイブリッド車、高速鉄道などの分野でのSiCデバイスの適用も可能になるという。

通常SiC単結晶は、昇華再結晶法と呼ばれる手法で製造される。同手法では摂氏2500度以上の超高温に加熱した製造装置の内部で粉末状のSiC原料から昇華させた蒸気を、種結晶状に再結晶化させることでSiC単結晶の成長を行っていた。昇華再結晶法は超高温での化合物結晶成長であるため、プロセス制御が難しく、結晶口径の拡大に伴い、結晶欠陥や熱負荷による結晶割れが発生する傾向が大きくなることが課題であったが、同社ではこうした問題を解決する研究開発を進め、数値シミュレーション技術をベースに、6インチの口径に適した超高温設備機構およびプロセス操業条件を開発し、大口径の結晶成長における結晶欠陥や結晶割れを抑制し、国内で初めて6インチSiCウェハの開発・製造に成功したとしている。

なお同社では今後、6インチウェハの量産化製造技術確立に向けたさらなる品質安定化および生産性向上技術開発していくほか、6インチSiCエピタキシャル膜製造技術開発を進め、事業体である新日鉄マテリアルズでの製造販売による6インチSiC単結晶ウェハ製品の市場供給を実現したいとしている。