Micron TechnologyとIntelは12月6日(米国時間)、20nmプロセスを採用した64GビットNAND型フラッシュメモリの量産開始と、128GビットNAND型フラッシュメモリを開発したことを発表した。

2製品ともに2ビット/セルのマルチレベルセル(MLC)方式を採用しており、「128Gビットを8ダイ用いることで1パッケージで最大1Tビットの容量を実現することが可能だ」(Micron Technology NANDソリューショングループ マーケティングディレクターのKevin Kilbuck氏)という。

IntelとMicronが開発した20nmプロセス採用MLC方式のNAND型フラッシュメモリのダイ写真。製造は両社の合弁会社IM Flash Technologiesのユタ州リーハイの工場でスタートし、時期を見てシンガポール工場でも生産を開始する計画。2012年の12月ころには全キャパシティの50%くらいは20nmプロセス製品に移行したいとしている

会見したMicron Technology NANDソリューショングループ マーケティングディレクターのKevin Kilbuck氏

また、128Gビット品はONFI(One Nand Flash interface)3.0規格に準拠しており、333MB/secの転送レートを実現しているほか、ページサイズも16KBと従来の8KBから2倍にすることで、高速転送を実現可能としているほか、今回採用した20nmプロセスでは、従来のフローティングゲート構造にHigh-k/メタルゲート(HKMG)を導入することで、従来プロセスと同程度の性能と信頼性を実現したとしている。

こうした大容量製品を提供することについてMicronでは、SSDの市場の伸びがNANDの容量拡大をけん引しているとしており、既存のSATA Gen3(6Gbps)対応製品のみならず、より小型なフォームファクタを実現可能なmSATA対応によるウルトラブックなどの新規市場への対応を加速させていくほか、PCIExpress(PCIe)Gen3や12Gbps SAS)などの次世代規格に対応したSSDなども提供することで、スーパーコンピュータやサーバなどの領域もカバーし、コンシューマとエンタープライズの両方の市場でのシェア拡大を図っていく計画と、チップ単体での提供だけでなくアプリケーションやソフトウェアまで含めたソリューションとして提供していくことで拡大するSSD市場での存在感を増したいとしている。

ノートPCを中心としたクライアント分野向けSSD市場の成長予測(左)とエンタープライズ分野向けSSD市場の成長予測(右)

なお、128Gビット品のサンプル出荷は2012年1月より開始予定で、2012年前半には本格的な量産を開始する計画だ。提供される容量ラインアップは128G/256G/512/1024Gビット(それぞれ1/2/4/8層の積層パッケージ)を予定している。ちなみに16層(2Tビット品)はやらないのか、と聞いたところ、歩留まりが悪すぎて採算に見合わないとのことであった。また、TSVを使う予定と3ビット/セルや4ビット/セルなどの製品計画については、「TSVは高性能製品向けで高い。もし、その価格でも良いといってくれるカスタマがいれば話は別だが、フラッシュメモリの最重要課題は価格であり、それはありえない。また3ビット/セルなどへの取り組みについては、今はStudy中で、2~3カ月後には何らかのアナウンスができると思っている」と回答してくれた。

Micronが提供するSSD製品のロードマップ。こうしてみるとSSDへの適用が遅いように思えるが、64Gビット品も128Gビット品もまずはUSBメモリやSDカードなどの記録メディアなどで信頼性などを確認した後、SSDとしての評価を行って始めて提供される