SCはHPC関係の若い人材を育てることに熱心で、学生のベストペーパーの表彰やリサーチのコンペティションの上位の学生を表彰、博士課程の学生の研究の進展を発表するセッションを設けるなど、各種のアクティビティを行っている。
Student Cluster Competition(SCC)は、このような教育を兼ねた学生同士の競技(Competition)である。SCCでは、学生だけで小規模なHPCクラスタを作り、その上でHPC Challengeや主催者が選んだ4種の実アプリケーションを走らせ、性能を競う。
競技に参加するには、大学の学部生、あるいは高校生で6人のチームを作る。それに、先生などの1名のコーチが付く。そして、クラスタを作るサーバやネットワーク機器を貸してくれたり、SC会場への交通費や競技中の宿泊費などを出してくれるスポンサーを見つける。
そして、クラスタの構成やチームメンバーの経歴などを書いた書類を作り、主催者に参加を申し込む。主催者は書類を審査し、十分な実力があると認めたチームにSCCの参加を認めるということになる。
今年のSCCの参加校
SC11では、以下の8校が参加を認められ、SCで対戦することになった。なお、( )内はスポンサーの名前である。
- National Tsing Hua University, Hsinchu, Taiwan (Acer)
- Boston University, Boston, Massachusetts, USA (Silicon Mechanics, NetApp)
- University of Colorado, Boulder, Colorado, USA (HPC Advisory Council)
- Costa Rican Institute of Technology, Cartago, Costa Rica (HPC Advisory Council)
- National University of Defense Technology, Changsha, Hunan, China (Inspur)
- Nizhni Novgorod State University, Nizhni Novgorod, Russia (Microsoft)
- Purdue University, West Lafayette, Indiana, USA (Intel)
- University of Texas at Austin, Texas, USA (Dell, TACC)
これを見ると、アジアは台湾の清華大と中国の国防科技大、それにロシアとコスタリカといった顔ぶれで、それ以外の4校はすべて米国である。なぜか、日本やヨーロッパの大学は参加していない。
SCCの概要
SCCでは、先ず、HPC Challenge(HPCC)ベンチマークを走らせ、性能を測定する。この時に使用した構成を以降の測定では使用しなければならず、クラスタに手を触れて構成を変更したり、一部の機器のパワーをOn/Offしたりしてはならない。また、リブートも禁止で、ハングしたりハード故障が発生した場合は主催者立ち合いでリブートすることが義務付けられている。なお、最近ではGPUを使うクラスタが増えているが、GPUを使う場合はチューニングがかなり異なるので、HPL(High Performance LINPACK)の測定だけはHPCCの共通構成と変えた構成で測っても良いという例外が認められるようになった。
そして、HPCCの測定後、主催者が選んだ4種の実アプリケーションを実行させ、そのスループットを競う。実アプリケーションの測定では、処理しきれない量の入力データが与えられ、与えられた期間で、それをどれだけ処理したかがスループットになる。
このHPCCの性能、4種のアプリケーション実行性能と主催者のジャッジや観衆のインタビューやブースでの映像展示などから判定されるチームのHPCの知識が、それぞれポイントに換算され、合計で順位が決まる。また、LINPACKでの最高性能を達成したチームも表彰が行われる。