東京工業大学と帝人は、高導電性カーボンナノファイバー(CNF:Carbon Nano Fiber)として、黒鉛結晶が層状に単一配向した楕円形状の断面を持つ新たな形状のCNFを共同で開発したことを発表した。

同CNFは、直線性の高い構造で、その繊維長は20μm上と従来のCNFの10倍以上を実現しており、電気抵抗が従来より30~40%低いことが特徴となっている。

また、製造工程において触媒を一切使わないため、高純度のCNFを製造することが可能であり、さらに製法としては、世界で初めて化学繊維の一般的な製造方法である溶融紡糸法を採用したことから、既存設備の活用が可能となり、製造コストを低く抑えることが期待できるという。

また、今回のの開発により、同CNFの低い電気抵抗性が、その繊維の長さにのみ起因するのではなく、黒鉛結晶が層状に単一配向するという高度に発達した構造に起因していることも推察することができたほか、数層のグラフェンがループを形成して繊維表面から高密度に露出していることから、化学反応しやすいという特徴を有しており、従来の炭素繊維では困難とされていた、樹脂などとの結合性向上や液状物質内での高い分散性を期待することができるようになったという。

そのため両者は今後、このような特性を活かし、電気自動車向けのリチウムイオン電池をはじめとする2次電池・キャパシタなどの電極材料や電極添加剤、樹脂添加剤、燃料電池ガス拡散層などの電池用途や樹脂補強材など、多様な用途に向けて市場展開を進めていく方針としている。

数層のグラフェンがループを形成して繊維表面から高密度に露出しており、これにより化学反応が起きやすい性質となっているという