IDC Japanは11月29日、国内産業分野別IT市場における2011年上半期の分析と、2011年から2015年の市場規模予測について発表した。発表によると、2011年の同市場規模は12兆4,797億円で、前年比成長率マイナス1.6%とマイナス成長を予測。また、2010年から2015年の年間平均成長率(CAGR : Compound Annual Growth Ratge)は0.3%で、2015年の市場規模を12兆8,978億円と予測している。

2011年は、東日本大震災の影響により、官公庁を除いたすべての産業においてIT支出がマイナス成長になる。組立製造(2011年 前年比成長率 : マイナス4.5%、市場規模1兆2,800億円)、プロセス製造(同 : マイナス4.2%、6,776億円)といった製造業では、サプライチェーンの寸断や福島第一原子力発電所の事故による電力不足の影響によって生産活動が大きく制限されたが、その後の復旧活動や輪番操業などの経営努力により業績の落ち込みは、当初の見込みより緩和されているという。また、官公庁(同 : 1.5%、7,313億円)は、復興に向けての財政支出や理化学研究所向けの「京」の出荷によってプラス成長を予測している。

国内IT市場 主要産業の前年比成長率の推移予測(2010年~2013年) 資料:IDC Japan

さらに、同調査によると2012年は、2011年の落ち込みの反動からすべての産業分野でプラス成長に転じるとみており、国内IT市場は、前年比成長2.8%、市場規模12兆8,307億円と予測している。特に情報サービス(2012年 前年比成長率 : 3.2%、市場規模7,426億円)では、震災を契機としてデータセンターに対する需要が拡大するとして、データセンターの新設 / 拡充が進むことから、他の産業分野と比較してプラス成長が大きくなるとみている。

同社では、「東日本大震災からの復旧復興に向けた政府の財政支出などによって、2012年の日本経済は比較的高い成長が見込まれる。ユーザー企業では、IT支出分野として『ビジネス継続/災害対策』がトップにあげられ、BCP関連のIT支出の増加が期待されるが、一方、円高、自由貿易協定の立ち遅れなどの影響から事業活動の中心を海外へ移す動きも顕著になってきている」と分析している。