Texas Instruments(TI)は、複数の産業用通信プロトコルをサポートし、産業用オートメーション機器開発に役立つARM Cortex-A8システム・ソリューションを発表した。

これは、7mW未満と低消費電力を提供する同社のARM Cortex-A8マイクロプロセッサ「Sitara AM335x」と、2種類の産業用オートメーション評価ボード(EVM)、通信プロトコルを開発できるソフトウェア開発キット(SDK)などを組み合わせたもので、同ソリューションを用いることで、I/O機器、HMIおよびPLCをはじめとした産業用オートメーション向け製品の市場への投入時間の短縮が可能となると同社では説明している。

AM335xは、新設計の高性能リアルタイムエンジンのPRU(プログラマブル・リアルタイム・ユニット)を搭載することで、厳しいリアルタイム性が要求されるEtherCAT、Ethernet/IP、PROFIBUS、PROFINET、 POWERLINKおよびSERCOS IIIをはじめとした主要な産業用通信プロトコルのマスタおよびスレーブの両面をサポートすることが可能。PRUとARMコアが1チップに統合されたことで、外付けの通信専用の高価なASICやFPGAが不要となり、シンプルな設計かつBOMコストの低減が可能になるという。

また、CAN、A/Dコンバータ、USB+PHYおよび、IEEE 1588機能付きの2ポートGigabit Ethernetをはじめとした主要な産業用ペリフェラルもサポートしていることから、高速のネットワーク・コネクティビティおよび、高いデータ転送のほか、各種センサ、アクチュエータおよびモーター・コントロールとの接続などが可能だ。

さらに、評価ボードとして主要な産業用通信プロトコルのすべてと、モーター・コントロール・アプリケーションを広範囲で評価できる開発ツール「AM3359 IDK(Industrial Development Kit)」およびI/O機器およびセンサ機器などのスレーブ機器向けの評価に特化した低価格評価ボード「AM3359 ICE(Industrial Communication Engine)」も提供されている。AM3359 IDKは、512MBのDDR2メモリ、2チャネルのモーター・ドライバ、デジタルI/O、A/Dコンバータを内蔵したPiccoloマイコン「C2000」、Stellaris ARM Cortex-M3マイコン、USB、Ethernet、SPI、I2Cなどによるさまざま用途に対応した評価機能を搭載している。一方、AM3359 ICEはポケットサイズで主要なプロトコルをサポートしたボードで、試作ハードウェアを作る前に多くのソフトウェア検証やシステム全体の構想・設計を小さな投資で実現することが可能なものとなっている。2製品ともに受注をすでに受け付けており、AM3359 IDKが895ドル(参考価格)、AM3359 ICEが99ドル(参考価格)となっている。このほか同社ではタッチパネルコントロールLCD付きの統合開発ボードである「AM335x EVM(評価モジュール)」も、受注を開始しており、こちらは995ドル(参考価格)としている。