Siemensは、高度な複合材の構造設計と製造に特化したエンジニアリング・ソフトウェアとサービスのサプライヤである米Vistagyを買収し、産業用ソフトウェア製品の拡充を図ることを発表した。
Siemensでは、Vistagyが提供してきた製品、サービス、サポートを自社の産業オートメーション事業部のビジネスユニットであるSiemens PLM Software(シーメンスPLMソフトウェア)に統合する計画で、シーメンスPLMソフトウェアが提唱しているオープン・ビジネスにより、Vistagyのすべての顧客に対するサポートが継続され、顧客満足度のさらなる向上を図ることができるようになるとSiemensでは説明している。
自社製品に炭素繊維部品のような複合材を使用している企業は、複合材がもたらす競争優位性を強化するため、さらなるコスト削減と製品の市場投入期間の短縮に取り組んでいる。軽量、高強度、高耐久性を兼ね備える複合材構造は、航空宇宙産業や風力タービンの回転翼など、すでに広範な用途に使用されているが、その開発と製造における複雑性が大きく軽減され、それに要する期間がさらに短縮されれば、自動車産業や造船業を中心に複合材の利用はさらに拡大していくものと予想されている。
同社がVistagyのエンジニアリング・ソフトウェアをPLMのための産業用ソフトウェア製品ポートフォリオに追加する目的も、この課題の解決にあり、この買収により炭素繊維部品の定義から開発、製造、サービスに至る全体的な価値創造をソフトウェア・ツールでサポートできる世界唯一の企業になるという。
同買収に向けた契約はすでに11月上旬に締結されており、買収取引は慣例法による承認を経て、2011年末までには完了する予定。なお、両社は買収条件を開示しないことに同意している。