キヤノンITソリューションズは、総合セキュリティソフト「ESET Smart Security V5.0」、およびウイルス・スパイウェア対策ソフト「ESET NOD32アンチウイルス V5.0」の個人ユーザー向け製品を、12月15日より販売すると発表した。
「ESET Smart Security V5.0」は、ウイルス・スパイウェア対策のほか、パーソナルファイアウォール、迷惑メール対策、フィッシング対策機能を備えた統合セキュリティ製品で、新規のパッケージ価格は6,800円(税別)。一方、「ESET NOD32アンチウイルス V5.0」の新規パッケージ価格は4,800円(税別)。なお、「ESET Smart Security V5.0」については、5万本限定で、3年1ライセンスのパック製品も9,800円(税別)で提供される。
これらの製品は、スロヴァキアのESET社が開発した製品で、国内ではキヤノンITソリューションズが販売する。ESET製品の特徴は、パターンファイルによるマッチングではなく、ファイル内部を直接解析してウイルスのコードが含まれていないかを検査し、仮想コンピュータで実際に動作させてウイルスの有無を確認するヒューリスティック法を採用していることだ。また、他社製品に比べ動作が軽い点が評価されている。
新バ―ジョンのV5.0では、ペアレンタルコントロール(ESET Smart Security V5.0のみ搭載)、ゲームモード、HIPS、ESET Live Gridの各機能を追加している。
ペアレンタルコントロールは、ユーザーアカウントごとにWebアクセスルールを設定し、望まないWebサイトなどへのアクセスをブロックする機能で、主に子ともへのアクセス制限を目的にしている。
ゲームモードは、セキュリティ機能をバックグラウンドで動作させ続けながら、ゲームの邪魔になるポップアップ通知などを一時的に停止する機能。
HIPS(Host-Based Intrusion Prevention System、ホスト型侵入防止システム)は、任意のシステムレジストリ/プロセス/アプリケーション/ファイルに対して、変更の可否などのルールを定義できる機能で、微調整も可能だという。
そして、ESET Live Gridは、1億人を超えるユーザーのデータベースからリアルタイムに作られたホワイトリストを利用して、実行中のファイルや任意のファイルの安全性を評価する機能。ユーザーが疑わしいファイルを送信し、データを人工知能を使って分析。そして、ESETが持っているデータベースと照合し、悪意があるものかどうかを決定するという。
来日したESET社 CEO リチャード・マルコ氏は、最近のマルウェアの傾向について、「特定の企業、組織を狙った標的型攻撃のマルウェアが増加し、攻撃者は、企業内のインサイダー情報を使っていることが多い」、「モバイルデバイスに対する攻撃も増加しており、Android端末を狙ったマルウェアも増えている」、「メディアの報道で話題になったニュースを偽装し、サイバー犯罪につなげている」、「検索エンジンを操作し、検索結果のトップになるように操作している」、「Facebookの友達リンクがマルウエアの拡散に利用されている」点などを指摘し、「ESETは研究開発に力を入れており、エミュレーション、コード解析などの技術を作り上げている。これらのトレンドを知ることにより、マルウェア対策の技術を開発することができる」と述べた。
また、国内販売を手掛けるキヤノンITソリューションズ 執行役員 プロダクトソリューション事業本部長 楢林知樹氏は、「知名度は御三家(シマンテック、トレンドマイクロ、マカフィー)に比べるとまだまだ」と謙遜しながら、「2008年からの売り上げ平均成長率は135%の伸びで、売り上げが2.5倍に伸張した。その背景には高いウイルス検出率と動作の軽快さにある」と、順調に売り上げを伸ばしている点を強調。2015年にはシェア10%を達成したいとした。
楢林氏によれば、同社のコンシューマ、法人のユーザー割合は50:50ということで、法人はキヤノン複合機の営業活動を通じたSMBが中心。ただ、今後は新たなパートナープログラム(「ESETセキュリティパートナープログラム」)をスタートし、より大規模ユーザーにもフォーカスするほか、さらなる商品ラインナップ拡充によるシェア拡大を狙うという。また、コンシューマについては、PCへのプリインストールを目指し、PCメーカーと交渉を行っていくという。