OKIは、救急患者の疾患情報と病院の受け入れ状況をリアルタイムで情報収集し、最適な医療機関への搬送支援を行う「救急医療搬送支援システム」を開発し、2012年3月より販売を開始すると発表した。価格は個別見積もりだが、メインの「統合エージェント」は5,000万円~。
救急搬送における医療機関の受け入れ困難、いわゆる「救急車のたらいまわし」は、大きな社会問題になっており、過去には19病院に搬送を断られたことにより妊婦が死亡するという事件も発生している。これに対し、佐賀県では、iPadを活用した「99さがネット」を開発し、今年の4月から運用を開始している。
今回、OKIが開発した「救急医療搬送支援システム」では、救急患者の処置ができる専門医の受け入れ可能状況を、医師がICタグを装備することで病院での位置情報などから繁忙度を判断するほか、救急隊員は、所持するタッチパネル式の専門端末(Android搭載)を使って患者の疾患情報や搬送状況を送信する。
医師の繁忙度は、医師に装着したアクティブ無線タグの位置を無線LANシステムで検知してリアルタイムに医師の位置を特定し、たとえば、手術室にいる時は手術中とみなし救急患者の応需不可(受入れ不可)という状況を割り当てるなど、その位置で行われる業務から医師の応需可否を決定するもの。
また、単純に位置から繁忙度を正しく把握できない場合に対応するため、病院情報収集システムには、人やモノが置かれている状況を推測・判断し、その状況に応じたサービスをリアルタイムに提供するコンテキストアウェアエンジンを導入し、状況判断のためのルールの随時追加が可能だという。
そして、リアルタイムで収集したこれら医師の繁忙度と患者の疾患および搬送状況を基に「統合エージェント」が、受け入れ病院の候補を選定する。
また、「統合エージェント」のほかにも、医師の繁忙度やベッド・手術室の空き情報を収集し表示する「病院情報収集サブシステム」、救急車出動後の情報や受け入れ病院への救急車到着予定時間を保有する「医療スタッフ支援サブシステム」、患者の医療情報を保有する救急医療カード(MEDICA)を管理する「MEDICAサブシステム」、コーディネータ(医師など)に患者情報を表示し、病院選定結果を救急隊員に通知する「コーディネータ支援サブシステム」、患者の緊急度判定や患者情報の送信・病院の選定結果を表示する「救急隊員支援サブシステム」、一次搬送先および二次搬送先の医療スタッフとコーディネータの3者が搬送に関する意思決定を行うためのテレビ会議システムを提供する「緊急医療コミュニティサブシステム」なども備え、サブシステム単位で導入可能なものもある。