2011年11月12日から18日の日程で、スーパーコンピュータ(スパコン)関係で最大の学会である「SC11」が米国シアトルのWashington State Convention Centerで開幕した。正確には12日から14日はチュートリアルや併設のワークショップが開催され、14日の夕方に行われる前夜祭を皮切りに、15日から18日の3日間で研究発表やシーモアクレイ賞などの表彰や展示が行われる。SC11には、事前に10,000人あまりが参加登録しており、会場での参加登録を含めると、昨年のSC10の10,500人を上回る参加者が見込まれる。
SCはTop500の発表が行われる学会としても有名である。今年11月のTop500は11月14日(米国時間)に発表され、予想通り、10.51PFlopsにパワーアップした「京」コンピュータが1位の座を継続して確保した。2位は中国の天河1A、3位はオークリッジ国立研究所のJaguarで、東工大のTSUBAME2.0も前回と同じ5位と、トップ10には変動が無かった。
今年のSC11で注目されるのは、巨大計算のフロンティアであるGordon Bell賞の行方である。Top500の5位以内のスパコンを2システム保有する日本からは、「京」を使い「10万原子のシリコンナノワイヤーの電子状態解析を行った論文」、TSUBAME2.0を使って、「金属の凝固過程を計算した論文」と「血流のようなBio Fluidの振る舞いの解析を行った論文」が候補に挙がっている。候補として選ばれた5件の論文の内の過半数の3件が日本からというのは、国内スパコンの最高が20位、30位という数年前の状況と比べると素晴らしい改善である。やはり、強力なスパコンが設置されると、アプリケーションサイドも頑張って、成果もついてくるという感じがする。またもや、仕分けでスパコン予算を削るという動きがあるが、日本の政治家は、このような国際的な評価をどのように見ているのであろうか?
SCの特徴は、論文発表に展示が併設されることで、今年は、産業界から201社、研究所や大学などから135団体が展示を行う。Washington Convention Centerの4階、6階(4階の天井が高いので5階は無い)を使う展示会場は265,630sqft(約24,700m2)の面積があり、ここを歩き回ると相当に歩数計のカウントが上がる。
また、この会場には展示や出席者の通信需要を満たすためにSCinetというネットワークが構築されるが、今回のSCinetの外部接続は3本の100Gb/sのネットワークを含め、全体で450Gb/sとこれまでの最高のバンド幅となっている。そして、会場全体を走る光ファイバの総延長は113マイル(約180km)の長さとなっている。
なお、小誌マイナビニュースでは、引き続きSC11での発表や展示をフォローしていく予定である。