ルネサス エレクトロニクスは11月10日、同社子会社ルネサス モバイルとPNDや携帯機器などに向けたアプリケーションプロセッサ「R-Mobile A1」シリーズを開発、即日サンプル出荷を開始したことを発表した。

同製品は、最大動作周波数800MHzのARM Cortex-A9とSH-4Aコアを各1個搭載し、最大3.7GIPSの性能を実現している。OSとしては、Linux、Android、Windows Embedded Compact 7.0、Windows Embedded Automotive 7.0に対応し、メディアエンジン制御にはSH-4Aを用いることで、地上波デジタル放送などの大容量データのリアルタイム制御を可能としている。

また、動画像処理エンジンとして、従来の「VPU5F」に加え、新規に「VCP1」を搭載したことにより、フルHDサイズ動画の録画・再生とフルセグ地上波デジタル放送再生が可能となっている。VCP1は、動画像圧縮規格H.264/MPEG-4 AVC、MPEG-4、MPEG-2のフルHD動画を30fpsで録画・再生が可能なほか、AVSの動画再生にも対応しており、これらの処理をCPUによるソフトウェア処理で行なった場合よりも、低消費電力で実現することができる。

加えてVPU5Fは、960×540画素、30fpsの動画録画・再生に対応しているため、地上波デジタル放送受信時に、フルセグ放送とワンセグ放送の同時受信が可能であり、移動体での強電界、弱電界時のシームレスな表示切替えを実現できる。放送規格としてはISDB-Tに対応しているが、今後、中国のCMMBとCTTB(DTMB)、欧州のDVB-Tなど世界各国のデジタルTV放送規格に対応する予定としている。

さらに、従来製品比で約30%性能向上した3Dグラフィックス機能として、最大2000万ポリゴン/秒の性能を持つImagination Technologies(IMG)の「PowerVR SGX540」を採用。OpenGL ES2.0、OpenGL ES1.1、OpenVG1.1に対応し、リアルな3Dグラフィック表示、多彩なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)表示を実現することができる。

このほか、バス幅32bit、400MHz動作のDDR3(DDR800)コントローラを搭載しているほか、USB2.0、Gigabit EtherMac、HDMI表示コントローラなどの周辺機能を搭載しているため、システムコストの低減が可能となっている。

なお、ピン互換で3Dグラフィック機能を搭載しない「R-Mobile A1S」および、モバイル端末向けにLPDDR2(DDR800)コントローラを搭載した、小型・低消費電力対応パッケージ品、CPU動作周波数を向上させた1GHz品(ARM Cortex-A9)も将来的にはラインアップ予定としているほか、アットマークテクノより評価ボードが提供される。

サンプル価格は5000円(R-Mobile A1Sは4000円)で、量産は2012年3月より開始、2013年には月産50万個を計画しているという。

Cortex-A9とSH-4Aのデュアルコア構成を採用したアプリケーションプロセッサ「R-Mobile A1」