リコーは10月28日、2012年3月期中間決算を発表した。売上高は前年同期比3.3%減の9388億8500万円、営業損益は前年同期の380億1200万円の黒字から17億7600万円の赤字へ、純損益は同125億1200万円の黒字から73億6300万円の赤字へとそれぞれ赤字転落となった。

リコー2012年3月期中間期業績の概要

リコー代表取締役 副社長兼執行役員の三浦善司氏

リコー代表取締役 副社長兼執行役員の三浦善司氏は赤字になった要因を「構造改革の加速による費用の増加と東日本大震災の影響に伴う費用の増加、円高進行の複合的な影響の結果」と説明するが、営業利益は、震災影響112億円と構造改革費用239億円を除くと334億円の黒字で、昨年と大きな違いはなく、さらに為替の影響で64億円の利益を喪失したことを考えると、構造改革が功を奏し、堅調な事業を維持できているとしており、「赤字ではあるが、特殊要因を除けばほぼ想定どおり。構造改革により下期は良くなることを前提に年度はある程度の利益を確保できるとみており、中間配当も維持する」と下期での回復を見込む。

2012年3月期中間期決算における営業損益の前年同期との増減分析

事業別の業績は、画像&ソリューション分野の画像ソリューション事業が、PPC(普通紙複写機)、MFPおよびプリンタのカラー機が堅調に推移したものの、モノクロ機の売り上げが前年同期比で減少し、為替の影響もあり、売上高は前年同期比3.5%減の7310億円となった。一方の同分野のネットワークシステムソリューション事業は、サーバ・ネットワーク機器やソフト販売が増加し、同4.9%増となる980億円となった。

2012年3月期中間決算の分野別/地域別売上高

画像&ソリューション分野の業績

また、産業分野は半導体分野の売り上げが減少したこともあり、同9.5%減の504億円の売上高となり、営業損失21億円を計上した。構造改革費用を除いても7億円の損失となり、21億円の内15億円が半導体事業(構造改革費用5億円を含む)の損失だが、下期は構造改革成果が出てくることで、収支は±ゼロに持っていく計画とする。

産業分野の業績

そして、その他分野は、デジタルカメラなどの売り上げが減少した結果、同7.5%減の593億円となったほか、新規事業の先行投資などもあったことから、28億円の営業損失を計上している。

その他分野の業績

一方の地域別の業績は、国内経済は東日本大震災の影響からは回復傾向となったものの、売上高は画像&ソリューション分野、産業分野、その他分野のすべての分野において前年同期比で4.3%のマイナス成長となる売上高6314億円となった。営業損益は156億円の損失となるが、これは構造改革(リストラ費用)を含めたものであり、この構造改革費用を除いた場合は83億円の黒字となるという。

また、海外経済は、中国などの新興市場の内需拡大に伴う回復傾向はみられるものの、欧州での一部の国の財政危機や債務問題などから不透明な状況が続き、ドルおよびユーロに対する大幅な円高への移行や株価の下落などの影響もあり、米州での売上高は為替の影響もあり同11.4%減となる2358億円。営業損益も、組織再編などを進めて効率化を図っているが、59億円の損失となっている。

日本と米州の業績

さらに、欧州はユーロ安円高の為替推移があったものの同0.4%増の2037億円で営業利益は124億円を確保。中華圏・アジアなどのその他地域については同3.8%源の1367億円となったが、営業利益は47億円を確保した。この結果、海外売上高全体では、同5.2%減の5043億円となった。

欧州およびその他地域の業績

なお、同社では下期の見通しとして、1ドル75円、1ユーロ105円に再設定したほか、構造改革費用および震災影響により営業利益は前回見通しの540億円から370億円へと下方修正しており、純利益も同220億円から100億円へと併せて下方修正しているほか、売上高についても国内市場は据え置くも、為替の問題から海外売り上げを600億円下方修正となる1兆450億円と引き下げている。

通期業績の見通し