愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターは、産学連携の研究成果として、超高硬度ナノ多結晶ダイヤモンド(ヒメダイヤ)を用いて、直径7.5mmの大型真球ダイヤモンドの作製に成功したことを発表した。同成果は、同センターの入舩徹男教授、新名亨ラボマネージャー、磯部太志理工学研究科博士課程学生らの研究グループによるもの。

同研究グループは、愛媛大学の支援により世界最大のマルチアンビル超高圧合成装置「BOTCHAN-6000」を2009年にに導入し、2010年に直径・長さともに1cm程度のヒメダイヤの合成に成功していた。今回の研究では、この大型合成ヒメダイヤを用いて、レーザー加工や超音波加工などの技術を組み合わせて、高精度な真球ダイヤモンドを製作した。

通常の宝石などに用いられる単結晶ダイヤモンドは、結晶面の方向により硬さや割れやすさが異なるため、方向により削れやすさが異なり、真球の製作は困難とされてきたが、今回作製された球状試料は直径7.5mmで、真球からのずれは数μm以下と、従来比で1000分の1以上の高い精度を実現した。

これは、ヒメダイヤが通常の単結晶と異なり、多数のナノサイズの微細なダイヤモンドが焼結した、均質な多結晶体であることによるためと研究グループでは説明している。

なお、今回得られた真球ダイヤは、その弾性的性質の精密測定に用いられるとともに、光学レンズなどへの応用も期待されており、同センターでは、自ら合成したヒメダイヤを様々な形状に加工し、新しい超高圧実験装置の開発など、先端科学技術への応用に取り組んでいく予定としている。

真球などに加工されたヒメダイヤ