東京エレクトロン デバイス(TED)は10月20日、Linear TechnologyのDC/DC μModuleポイントオブロード(POL)レギュレータIC「LTM4601」を搭載した評価用低ノイズ小型電源モジュール「TD-BD-LTM4601LNシリーズ」を自社開発製品ブランド「inrevium」製品として発売したことを発表した。価格は1枚あたり1万円。
組込機器の開発現場では、機器の高機能化、高性能化と短TAT化の二律背反する課題が求められ、電源に関しても同様の課題が突きつけられるようになっている。しかし、FPGAやCPUなどの微細化によるコア電圧1Vや0.9Vなどに低下したものの、周辺は3.3Vや5Vといったように、複数の電圧への対応が求められるようになっているほか、大電流、高精度への対応が求められるようになっている。しかも、電源仕様は基板設計の終盤になるまで確定しないため、回路設計者は限られた時間とスペースでの高度な電源回路の設計が求められるようになってきている。
同製品は、抵抗、コンデンサなどの周辺部品の選定やレイアウトが完了しているほか、前後段にフィルタを配置することで従来品比で80%程度のノイズ抑制を果たしており、1V・12A出力時に平均6mVの低リップルノイズを実現した評価用電源モジュールとなっている。サイズは50mm×36mm×10mmで、標準コネクタを搭載しているため、基板の省スペース化と迅速な評価環境の構築が可能であるため、開発期間の短縮を図ることが可能なほか、モジュールとしての提供のため、今まで複数電源を配置する際に難しかった等長配線も行えることから、FPGAで要求されるPOLを容易に実現することが可能だ。
また、サイバネットシステムによるEMI(EMI:Electro Magnetic Interference)検証の実施により、1GHzまでの周波数領域において-20dB以下が実現されているほか、最大6枚の並列搭載(最大72A)により、平面に回路を実装した場合に比べ、同面積で4回路分を実装することが可能となっている。
さらに、標準コネクタを搭載しているため、ユニバーサル基板での実装が可能だ。また、Linearが提供しているシミュレータ「LTspice IV」上で動作するモジュールとしての回路モデルをビー・テクノロジーの協力のもと開発、これを用いることで、並列接続や電源シーケンスの設定を容易に行えうことが可能となっている。
なお、同社では大規模FPGAやCPUなどの、POLを必要とする電源回路設計者向けの初期設計評価用モジュールとして、半年で1,000個を販売する予定としているほか、マニュアルにリファレンスとしての活用を想定した回路図やパターン図なども添えて提供するとしている。