大日本印刷(DNP)は、地デジとインターネット回線を併用して、飲料用自動販売機に搭載したデジタルサイネージから緊急情報を配信する実証実験を開始すると発表した。実験は、2011年10月25日~2012年2月29日まで、産業技術大学院大学(東京都品川区)にて実施する。

これは、DNPとダイドードリンコ、日本テレビが共同で開発した地デジとインターネットの双方に対応したデジタルサイネージ一体型飲料自販機を利用し、この機器と情報配信システムの本格運用に向けた実証的な確認を行うもの。

デジタルサイネージ一体型飲料自販機

災害発生時に、デジタルサイネージからテレビやラジオなどが提供する緊急ニュースを提供できれば、外出中の生活者を安全に誘導することもできるが、自然災害や大規模なシステム障害などが発生した場合、電力の供給停止やインターネット回線の遮断などにより、デジタルサイネージに適切な災害情報配信を速やかに提供できなくなる懸念がある。また、災害用に新たに屋外に多数のデジタルサイネージを設置し、維持・運営するためのコストは膨大で、電力供給の停止などの状況を想定した場合、既存のデジタルサイネージのシステムでは対応が困難だという。

そこで今回、DNP、ダイドードリンコ、日本テレビの3社は、すでに屋内外に多数設置されている飲料自販機に着目し、非常時には緊急情報を発信するデジタルサイネージとして活用することとした。

一部の飲料自販機には非常用バッテリが搭載されており、停電時でも一定時間運転を継続でき、人通りの多い場所に設置される自販機に、地上デジタル用アンテナと情報表示用ディスプレイを設置することにより、機器の投資負担を軽減できるメリットがあるという。

実験が行われる産業技術大学院大学では、 地デジコンテンツとして、ニュース、天気予報、各種注意報・警報、地震速報、津波速報、電車運行情報、インターネットコンテンツとして、大学内情報、ダイドードリンコの商品広告など提供する。

今回の実験では、レーザーセンサーで、当機器設置前後における利用者の動線を調査。情報配信時と配信していない時のそれぞれの利用者の滞留時間や飲料の売上状況の変化などを検証するほか、注目度が高い、または低いコンテンツの調査、長時間連続稼動時の安定性や、停電を想定して電源をバッテリに切り替えた際の稼動状況などを検証する。