PLMプロバイダであるシーメンスPLMソフトウェアは、Windows上で動作するエンジニアリング有限要素解析(FEA)用プリポストプロセッサ「Femap」の最新版「Femap 10.3」をリリースした。
同バージョンでは、複雑なジオメトリ・モデルの処理を容易にするためのツールとして自動ジオメトリ準備機能などを実装。これにより、これまでほとんどの市販ソフトウェアでは対応できなかった複雑なジオメトリを、数回のクリックだけで処理でき、メッシュ・モデル作成をすることができるようになった。このため、前バージョンと比較すると、例えば一般的な鋳造モデルのメッシングに要する平均時間は約50倍の高速化が実現できるようになったという。また、同社の包括的なFEAアプリケーション「NX Nastran」が有する機能のサポート範囲を拡張するなど、多くの機能拡張が行われている。主な機能拡張は以下のとおり。
- FEMプリプロセッシング(メッシング)用の複雑なジオメトリの準備に要する時間を削減する新自動ジオメトリ準備機能を搭載。また、使い勝手に優れたユーザ・インタフェースによるモデルの自動クリーンアップ機能、スライバーや短エッジといった問題のあるジオメトリの修正機能も追加され、メッシュ・モデルを1回で作成することも可能となった
- NX Nastranの空力弾性解析用にモデルをインタラクティブにセットアップできるよう、ユーザ・インタフェースを拡張。これにより、例えば、航空機翼の構造における気流の影響解析など、複雑な空力弾性モデリングと解析の時間を削減することができるようになった
- フリーボディ・ダイアグラム(自由体図)の作成とインタフェース荷重の検査を容易かつ迅速に実施できる「Free Body Tool」がFemap Postprocessing Toolboxに搭載された
また、併せて同社はフル機能搭載の3D CADツール「Solid Edge」と「Femap with NX NASTRAN」の最新バージョンを、無償で45日間試用できるダウンロード・サービスも発表している。同サービスは、「Solid Edge ST4」とFemap最新版の評価用ライセンスを無償提供するほか、広範な学習リソースへのアクセスも可能にしたもので、登録ユーザーは、両方もしくはどちらかのアプリケーションを選択しダウンロードすることで、それぞれの製品の機能をフルに活用することができるようになる。
Solid Edge ST4は、ダイレクト・モデリングによるスピードと柔軟性、さらに寸法駆動設計による高精度な制御を兼ね備えたユニークな特徴を持つ、シンクロナス・テクノロジを搭載した3D CADシステムで、Femapとともに多言語に対応しており、Femapの評価版ではNX Nastran有限要素解析(FEA)ソルバがバンドルされ、これを必要とするすべての有限要素モデリング(FEM)のプリポストプロセッシング機能も提供されるほか、NX Nastranのアドオン製品であるDynamic ResponseとOptimizationも併せて提供される。
さらに、試用期間中にこれらのソフトウェアを最大限に活用するための、さまざまなトレーニング・リソースへのアクセスも可能になっているほか、すべての登録ユーザーは、Solid EdgeとFemapの専門技術者も参加している専用のユーザー・フォーラムへのアクセスも可能になる。この他、Solid EdgeとFemapをよりうまく使いこなすためのインタラクティブなチュートリアルやビデオも利用することが可能となっている。