Windows互換レイヤ「Wine」のデータベースシステムが第3者から不正アクセスを受けていたことが「[Wine] WineHQ database compromise」において報告された。説明によればphpmyadminへのアクセスが不正に実施されたとのことで、WineHQのデータベースシステムからデータを盗まれた可能性があるという。
具体的にどのデータが盗まれたのかは判別できないと報告がある。データベースが改ざんされた形跡はなく、被害はデータの盗難だけと見られる。しかし、appdbおよびbugzillaの双方のデータベースに登録されているログインデータがすべて盗まれた可能性があり、注意が呼びかけられている。
仮にこれらログインデータが盗まれていた場合、パスワードそのものは暗号化されているものの時間と計算パワーを十分にかければパスワードを得ることは可能であり、その場合、このログインで利用しているのと同じユーザ名とパスワードを使っているほかのメールなどが被害を受ける可能性がある。
OSSプロジェクトではここ数ヵ月の間、Kernel.orgが第3者による不正侵入を受けサービスを停止しているほか、Linuxファウンデーションのサイトも不正侵入を受けてサービスの停止を実施した。Linuxファウンデーションの提供するサービスのいくつかはまだ復旧していない。
WineはMicrosoft Windows互換レイヤ。Windows以外のプラットフォームでWindowsアプリケーションを実行できるようにする。フル仮想化のようにOSレベルでエミュレーションするのではなく、Windowsアプリケーションが動作するのに必要になる機能を個別に実装して実行環境を提供しているという特徴がある。